源氏物語イラスト訳【若紫193】中に
中に、小さく引き結びて、
「面影は身をも離れず山桜心の限りとめて来しかど
夜の間の風も、うしろめたくなむ」
とあり。
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【源氏物語イラスト訳】
大学入試頻出の『源氏物語』も、
現代語訳とイラストとの組み合わせで読むことで、
ビジュアル的にイメージしながら速習できます。
中に、小さく引き結びて、
訳)その中に、小さく結んで、
「面影は身をも離れず山桜
訳)「若紫の面影は、山桜のように美しく、わが身から離れません。
心の限りとめて来しかど
訳)心のすべてをそちらに留め置いて来たのですが
夜の間の風も、うしろめたくなむ」とあり。
訳)夜の間に吹く風(で散ってしまうのではないかということ)も気がかりで…」と書いてある。
【古文】
中に、小さく引き結びて、
「面影は身をも離れず山桜 心の限りとめて来しかど
夜の間の風も、うしろめたくなむ」
とあり。
【訳】
その中に、小さく結んで、
「若紫の面影は、山桜のように美しく、わが身から離れません。
心のすべてをそちらに留め置いて来たのですが
夜の間に吹く風(で散ってしまうのではないかということ)も気がかりで…」
と書いてある。
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■【中】…(手紙の)中
■【に】…場所を示す格助詞
■【小さく】…ク活用形容詞「小さし」の連用形
■【引き結ぶ】…ひっぱって結ぶ(「引き」は接頭語)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【面影(おもかげ)】…(若紫の)顔つき。おもざし
■【は】…取り立ての係助詞
■【身】…わが身(光源氏自身)
■【を】…動作の起点の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【離れ】…ラ行下二段動詞「離る」の連用形
■【ず】…打消の助動詞「ず」の終止形
■【山桜(やまざくら)】…ここでは、若紫の美しさを見立てている
■【心】…気持ち。愛情
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【限り】…すべて。全部
■【とめ】…マ行下二段動詞「止む」の連用形
※【止む】…留め置く
■【て】…単純接続の接続助詞
■【来(こ)】…カ変動詞「来(く)」の未然形
■【しか】…過去の助動詞「き」の已然形
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【夜の間の風】…夜の間に吹く風。光源氏がいない間に若紫を誰かに奪われるのではないか、という見立て
■【も】…強意の係助詞
■【うしろめたく】…ク活用形容詞「うしろめたし」連用形
※【後ろめたし】…気がかりだ。心配だ
■【なむ】…強意の係助詞(結びの省略)
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速読トレーニングとして使ってもらえたら幸いです。