源氏物語イラスト訳【若紫189】いかに
「…いかにかまへて、ただ心やすく迎へ取りて、明け暮れの慰めに見む。兵部卿宮は、いとあてになまめいたまへれど、匂ひやかになどもあらぬを、…」
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【源氏物語イラスト訳】
大学入試頻出の『源氏物語』も
現代語訳とイラストを組み合わせて
ビジュアル的に理解すれば、速読力が身につきます。
「…いかにかまへて、ただ心やすく迎へ取りて、
訳)「…何とかしてきっと、ただただ気軽に自分のもとに迎え入れて、
明け暮れの慰めに見む。
訳)毎日の慰めとして一緒に暮らしたい。
兵部卿宮は、いとあてになまめいたまへれど、
訳)(彼女の父の)兵部卿宮は、とても高貴で優美でいらっしゃったけれど、
匂ひやかになどもあらぬを、
訳)華やかで美しかったりはしないのに、
【古文】
「…いかにかまへて、ただ心やすく迎へ取りて、明け暮れの慰めに見む。兵部卿宮は、いとあてになまめいたまへれど、匂ひやかになどもあらぬを、…」
【訳】
「…何とかしてきっと、ただただ気軽に自分のもとに迎え入れて、毎日の慰めとして一緒に暮らしたい。(彼女の父の)兵部卿宮は、とても高貴で優美でいらっしゃったけれど、華やかで美しかったりはしないのに、…」
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■【いかに~む】…なんとかして~よう
■【かまへて~む】…きっと~よう
■【ただ】…ただただ。ただひたすら
■【心やすく】…ク活用形容詞「心安し」連用形
※【心安し】…気軽だ。安心だ。おだやかだ
■【迎へ取る】…自分のもとに迎え入れる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【明け暮れ】…毎日
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【慰め】…なぐさめ。気晴らし
■【に】…資格の格助詞
■【見】…マ行上一段動詞「見る」未然形
※【見る】…逢う。男女関係を結ぶ
■【む】…意志の助動詞「む」終止形
■【兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)】…若紫の父
■【は】…区別の係助詞
■【いと】…とても
■【あてに】…ナリ活用形容動詞「あてなり」連用形
※【あてなり】…高貴だ。上品だ
■【なまめい】…カ行四段動詞「なまめく」連用形イ音便
※【なまめく】…清らかだ。優美である
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒兵部卿宮)
■【れ】…完了(存続)の助動詞「り」已然形
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【匂ひやかに】…ナリ活用形容動詞「匂ひやかなり」連用形
※【匂ひやかなり】…あでやかで美しい。華やかで美しい
■【など】…婉曲の副助詞
■【も】…強意の係助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【を】…逆接の接続助詞
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兵部卿宮というのは、
若紫の亡き父親です。
宮(親王)なので、上品ではあったけれど、
ビジュアル的には、イマイチだったようですね。