源氏物語イラスト訳【若紫187】聞こえ
聞こえわづらひたまひて、うち嘆きて臥したまへるも、なま心づきなきにやあらむ、ねぶたげにもてなして、とかう世を思し乱るること多かり。
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【源氏物語イラスト訳】
入試頻出の『源氏物語』を、
現代語訳とイラストの組み合わせで
速読ができるようにしていきます。
聞こえわづらひたまひて、
訳)お誘い申し上げるのに躊躇しなさって、
うち嘆きて臥したまへるも、なま心づきなきにやあらむ、
訳)ふっと溜息をついて横になっていらっしゃるけれども、何となく気にくわないので あろう か、
ねぶたげにもてなして、
訳)眠たそうにふるまって、
とかう世を思し乱るること多かり。
訳)あれやこれやと夫婦仲を思い悩みなさることが多い。
【古文】
聞こえわづらひたまひて、うち嘆きて臥したまへるも、なま心づきなきにやあらむ、ねぶたげにもてなして、とかう世を思し乱るること多かり。
【訳】
お誘い申し上げるのに躊躇しなさって、ふっと溜息をついて横になっていらっしゃるけれども、何となく気にくわないので あろう か、眠たそうにふるまって、あれやこれやと夫婦仲を思い悩みなさることが多い。
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■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲(作者⇒葵上)
■【~わづらふ】…~するのに悩む。~するのに苦労する
■【~たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【うち嘆く】…ふっとため息をつく
※【うち―】…接頭語
■【て】…単純接続の接続助詞
■【臥(ふ)す】…横になる
■【~たまへる】…~ていらっしゃる
※【たまへ】…ハ行四段動詞「はまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
※【る】…完了(存続)の助動詞「る」連体形
■【も】…逆接確定条件の接続助詞
■【なま~】…なんとなく~
■【心づきなき】…ク活用形容詞「心づきなし」連体形
※【心づきなし】…気にくわない
■【にやあらむ】…~であろうか
※【に】…断定の助動詞「なり」の連用形
※【や】…疑問の係助詞
※【あら】…ラ変動詞「あり」未然形
※【む】…推量の助動詞「む」連体形
■【ねぶたげに】…ナリ活用形容動詞「ねぶたげなり」連用形
※【ねぶたげなり】…眠そうである
■【もてなす】…ふるまう
■【て】…単純接続の接続助詞
■【とかう】…あれやこれやと
■【世(よ)】…男女の仲。夫婦仲
■【を】…対象の格助詞
■【思し乱るる】…ラ行下二段動詞「思し乱る」連体形
※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
※【思ひ乱る】…あれこれ思い悩む
■【多かり】…「多し」の連用形・終止形
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光源氏が一人でさっさと夜の御座所に入って行かれたとき、
お誘いがなければ、なかなか女から寝所に入れないですよね;
もちろん、今までの夫婦仲のこともあるでしょうが、
光源氏、もうちょっと誘ってあげたらいいのに…