源氏物語イラスト訳【若紫171】うちうなづきて
うちうなづきて、「いとようありなむ」と思したり。雛遊びにも、絵描いたまふにも、「源氏の君」と作り出でて、きよらなる衣着せ、かしづきたまふ。
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【源氏物語イラスト訳】
うちうなづきて、「いとようありなむ」と思したり。
訳)こっくりと頷いて、「きっと とてもすてきでしょうね」とお思いになっている。
雛遊びにも、絵描いたまふにも、「源氏の君」と作り出でて、
訳)お人形遊びにも、絵を描きなさるにも、「源氏の君」と作り出して、
きよらなる衣着せ、かしづきたまふ。
訳)美しい衣装を着せ、大切に扱いなさる。
【古文】
うちうなづきて、「いとようありなむ」と思したり。雛遊びにも、絵描いたまふにも、「源氏の君」と作り出でて、きよらなる衣着せ、かしづきたまふ。
【訳】
こっくりと頷いて、「きっと とてもすてきでしょうね」とお思いになっている。お人形遊びにも、絵を描きなさるにも、「源氏の君」と作り出して、美しい衣装を着せ、大切に扱いなさる。
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■【うち―】…勢いよく(下の語の意味を強める接頭語)
■【うなづき】…カ行四段動詞「頷く」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【いと】…とても
■【よう】…ク活用形容詞「良し」連用形ウ音便
■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形
■【な】…強意の助動詞「ぬ」未然形
■【む】…推量の助動詞「む」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【思し(おぼし)】…サ行四段動詞「おぼす」連用形
■【たり】…完了(存続)の助動詞「たり」終止形
■【雛(ひな)遊び】…ひな人形に供え物をしたり種々の調度を飾ったりしてする遊び
■【に】…対象の格助詞
■【も】…同趣の係助詞
■【描い】…カ行四段動詞「描く」連用形イ音便
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
■【に】…対象の格助詞
■【も】…同趣の係助詞
■【源氏の君】…光源氏のこと
■【と】…引用の格助詞
■【作り出で】…ダ行下二段動詞「作り出(い)づ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【きよらなる】…ナリ活用形容動詞「きよらなり」連体形
※【きよらなり】…気品があって美しい
■【衣(きぬ)】…衣装。服
■【着せ】…サ行下二段動詞「着す」連用形
■【かしづく】…大切に扱う。世話をする
■【たまふ】…尊敬の補助動詞
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若紫は
光源氏のことを忘れずに
ずっと思い秘めているようですね。
こんなふうに細かな所を読んでいくと
光源氏がロリコンチックに若紫を拉致した
…なんて解釈は、
ちょっと通らなくなってきいますよね!