【桐壺124-②】解釈~芙蓉 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【桐壺124-②】解釈~芙蓉

【古文】

太液芙蓉未央柳も、げに通ひたりし容貌を、唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ、

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

【これまでのあらすじ】

いつの時代であったか、帝のご寵愛を一身に受け、玉のような御子を生んだ一人の女官(桐壺更衣)がおりました。周囲の反感の中、彼女は亡くなってしまいます。帝は、桐壺への思慕が募り続けます。

帝は、桐壺更衣のことを考えつつ、手元にあった「長恨歌」を描いた絵を眺めます。

なんだか、楊貴妃の魅力に欠けるな…

「長恨歌」を深く読み込んでいるからこそ、絵に描いた楊貴妃に、なんだか物足りなさを感じる帝…。

 

あなたも、大好きな小説が、アニメや映画化されたりしたら、

あれっ?なんか、思ってたのと違う…

そう感じることもあるのではないでしょうか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

太液芙蓉未央柳も、

「太液」とは、中国の宮内にあった池の名前です。

「太液池」は、長安城外の未央宮内にありました。

(※あ、「宮内(くない)」とは、皇帝の居場所のことです)

 

「芙蓉(容)」は、「ふよう」と読み、ハイビスカスみたいな花を指しますが、古典では「蓮(はす)の花」の異名として使われることが多い名です。

(※詳しい写真はこちら→Weblio辞典「芙蓉」

 

「未央」とは、「未央宮(びおうきゅう)」のこと。

玄宗皇帝が最愛の楊貴妃とともに暮らした宮殿です。

 

「未央柳」は、そこに植えられていた柳の葉に似ていることから、その名が名付けられたそうです。

(※詳しい写真はこちら→古流理恩会「未央柳」


 

長恨歌 』では、「安録山の乱(クーデター)」により、玄宗皇帝最愛の楊貴妃が殺されてしまいます。

茫然自失で宮内に帰ってきた玄宗皇帝…。

変わりなくそこにある、太液池の蓮、未央宮の柳…。

 

『長恨歌』は、次のように続きます。

 

太液芙蓉未央柳

芙蓉如面柳如眉

 

その花は楊貴妃の顔のようで…

その柳は彼女の眉のようで…

 

訳)長恨歌の一節、「太液池の芙蓉(蓮)、未央宮の柳」の句にも、
マンガ版源氏物語で古文.国語の偏差値20UPし大学受験に合格する方法

『長恨歌』のこのくだりを帝は思い出し、楊貴妃が蓮の花や柳の眉にたとえられていたことを考えます。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

げに 通ひたり 容貌

 

【げに】

なるほど、本当に

(丸暗記単語です!)

 

「通ふ」のあとに、「容貌(かたち)」とあるので、

通ふ」は、「似通う、通じている」という意味になります。

 

訳)なるほど 似通ってい 容貌だが

マンガ版源氏物語で古文.国語の偏差値20UPし大学受験に合格する方法

花や木にたとえられている楊貴妃…。

帝の心には、いま何が映っているのでしょうか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーー


唐めいたる装ひは

 

【唐(から)めく】

中国風に見える

 

訳)中国風に見えている装いは
マンガ版源氏物語で古文.国語の偏差値20UPし大学受験に合格する方法

中国といえば、今でいうハリウッドスタイルのように、当時の日本人の憧れの的だったに違いありません!

楊貴妃の、この中国めいた装い…。

帝の心には、何が映っていたのでしょう?

 

ーーーーーーーーーーーーーーー


うるはしうこそありけめ、

 

【うるはし(麗し)】

端麗である、美しい

 

【こそ~(已然形)、】

~ではあるが、

係り結びの逆接用法→こちらを参照

 

【けめ(けむ)】

~ただろう過去推量の助動詞)

 


訳)端麗ではあったのだろうが、

マンガ版源氏物語で古文.国語の偏差値20UPし大学受験に合格する方法

確かに、世界三大美女とうたわれる楊貴妃…。

花鳥風月にたとえられるほどの、美しい姿態であったはずです。

 

ですが、帝の心には…

(続く…)

【古文】

太液芙蓉未央柳も、げに 通ひたり 容貌唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ、

 

【口語訳】

長恨歌の一節、「太液池の芙蓉(蓮)、未央宮の柳」の句にも、なるほど 似通ってい 容貌だが中国風に見えた装いは端麗ではあっただろうが、

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【大液芙蓉未央柳】

■【げに】

■【通ふ】

■【容貌(かたち)】

■【唐めく】

■【うるはし】

■【こそ~(已然形)、】

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇