これも地蔵の仲間? | 地蔵ブログ。

これも地蔵の仲間?

 村のはずれのお地蔵さんは~♪


という歌があるようです。せっかくなので、歌詞を全部書いてみましょう。


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「見てござる」作詞:山上武夫 作曲:海沼実


村のはずれの おじぞうさんは
いつも にこにこ 見てござる
なかよしこよしの じゃんけんぽん
 ホイ
石けり なわとび かくれんぼ
げんきに 遊べと 見てござる
ソレ 見てござる
たんぼだなかの かかしどんは
いつも いばって 見てござる
ちゅんちゅん ばたばた すずめども
 ホイ
おこめをあらしに きはせぬか
おかたを いからし 見てござる
ソレ 見てござる
山のからすの かんざぶらうは
いつも かあかあ 見てござる
おいしい おだんご どこじゃいな
 ホイ
お山の 上から キョロ キョロと
あのさと このさと 見てござる
ソレ 見てござる
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 コピペがバレバレな感じですけど、歌詞全体の雰囲気が分かると、この歌の舞台におけるお地蔵さんが置かれた場所について、豊かなイメージを持てそうですね。


 作詞家の山上武夫は長野市松代町出身。長野市松代町には、この歌の歌碑があるということですが、長野県にはお地蔵さんだけでなく、道祖神と呼ばれる石の神様がたくさんあるそうです。男女和合の象徴などと言われることもあるそうですが、道路の悪霊を防いで守護してくれる神様として知られています。塞の神(さえのかみ)と習合された、と広辞苑にはあります。


 せっかくなので、塞の神(さえのかみ:「障の神」とも書く)についても広辞苑で調べてみました。日本の神話に登場してきます。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、妻である伊弉冉尊(いざなみのみこと)を黄泉の国に訪ねたとき、追いかけてきた醜女(よもつしこめ)を遮って止めるために投げた杖から出てきた神さまだそうです。そこから、邪霊の進入を防ぐ神様として位置づけられ、航路や旅の安全を守る存在として、村境等に置かれるようになったとのことです。近世では、その姿形から、良縁、出産、夫婦円満の神様ともなったということですが、この塞の神→道祖神という神様が、さらにお地蔵さんと同じ扱いをされていると指摘する人がいます。


 道路は、魑魅魍魎が跋扈する場所ですね。沖縄でよく見かけるシーサーや石敢當(いしがんどう)などは、道路を走る悪霊を防ぐ守り神です。門から悪霊が入ってこないようにするのがシーサーですし、猪突猛進な悪鬼が突き当たりの壁を乗り越えて家に入ってこないようにするのが石敢當です。ちなみに石敢當のルーツは中国の福建省あたりにあるらしく、日本国内では九州や中国地方、海外では東南アジアにも分布しているとのことです。


 似たものを思いついたので、調子に乗ってもう少し書きます。京都などで屋根の上に乗っている鍾馗様と呼ばれる小さな神様は、唐の玄宗皇帝の夢の中に出てきた魔を祓ったという故事に由来しているそうです。流行病に対する守り神として親しまれているようです。


 そんなこんなで、人びとを守ってくれる神様仏様として、お地蔵さんも道ばたや村はずれに設置されてきたわけです。ちなみに、京都のお地蔵さんなどは、路地単位の町会の中央にあることが多いということで、共同体を守る存在として大事にされているようです。都会と農村部では、お地蔵さんの立ち位置も少し違うようです。