営業とマーケティングのAI化を支援している、AIリモートワーカーの佐々木です。
前回の最後に「AIに任せた仕事の検品を、誰がどうやるか」を書くと予告したので、今日はその話です。
AI化の相談を受けていると、途中で必ずこの質問が出ます。
「AIが作ったものは、結局だれがチェックするんですか」
よくある答えは「マネージャーが全部見る」です。
でも、これはだいたい続きません。
議事録も、お礼メールも、提案資料も、AIが作る量は人が書いていた頃より増えます。それを1人が全部読もうとすると、浮いたはずの時間がそのまま確認作業に吸われて、最後は誰も読まなくなります。
私が上場企業で営業とマーケティングのAI化を進めていたときに落ち着いた形は、2つに分けることでした。
ひとつめ。事実の検品は、その場にいた人がやる。
商談の要約やお礼メールの下書きが届いたら、確認するのは商談に出ていた本人です。決まったこと、宿題、次の日程が合っているか。その場にいた人なら、読めばすぐ分かります。上司が読んでも、合っているかどうかは分かりません。
ふたつめ。マネージャーは全部を見ない。AIが「ここ」と指した場所だけを見る。
商談の録画を自動で解析して、説明が足りていなさそうな箇所が見つかったら、Slackでマネージャーに知らせるようにしました。
マネージャーは、録画のその箇所だけを見に行く。
本当に足りていなければ、お客様に追加の資料を送るか、次の商談に同席する。
この形にして気づいたのは、検品の目的が「AIのミス探し」ではなかったことです。
マネージャーが全件の録画を見ていた頃は、時間が足りず、結局は大きな案件だけを見ていました。小さな案件で説明が抜けていても、気づくのは失注したあとです。
知らせが来るようになってからは、説明の抜けを、お客様が迷っているうちに埋めにいけるようになりました。
見ているのはAIの出来ではなくて、お客様がどこで引っかかっているか、のほうでした。
その会社では、チーム全体の受注率が入社時の8%から平均45%まで上がりました。もちろんこの仕組みだけの成果ではありません。ただ、「抜けたまま次に進む商談」を減らしたことは、確実にその一部でした。
もうひとつ付け加えると、別の支援先では、AI化を組むのと同時に社内向けの説明動画を作りました。動画を見れば、現場の方が自分でAIの動きを直せるようにするためです。
検品で「ここが違う」と気づいた人が、そのまま直せる。気づくたびに私に連絡が来る状態だと、私が抜けた瞬間に止まってしまいます。
だれが検品するか、の答えをまとめると、こうなります。
事実はその場にいた人が見る。全体はAIが指したところだけ人が見る。直すのは、気づいた人自身。
AIに任せるというのは、人が見なくてよくなることではなくて、人が見る場所が変わることなんだと思っています。
次回は、そのお客様が引っかかっていた「説明の抜け」は、そもそもどうやって見つけていたのか。トップセールスの商談録画を全部AIで読んで、話し方を型にしていった話を書きます。
今日書いたようなことを、動画と練習問題にして「営業マーケAIスクール」に置いています。個人の方は登録なし・無料で全部見られます(会社で使う場合だけ有料)。自分の職種を選ぶと、今日やる1つとプロンプトが出ます。
月・水・金の朝に、こういう現場の話を書いています。フォローしていただくと次の話が届きます。