伝 説 の 馬 (後編) | 競 馬 伝

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そんな競馬と人生について語ります。

怪物が次に選んだのは古馬との

 

混合戦である高松宮杯だった

 

古馬との戦いで注目されたがコースレコードと

 

いうおまけ付きで勝利した

 

しかも地方競馬からの移籍馬による

 

重賞連勝記録を5連勝とした

 

あの怪物ハイセイコーの記録を

 

塗り替えたのであった

 

「幻のダービー馬」

 

「芦毛の怪物」

 

「オグリ」と

 

呼ばれるようになったのである

 

この勝利のあと秋に向けて陣営は

 

天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念という

 

ローテーションでG1奪取へと決め込んだ

 

休養が明けた第一戦、毎日王冠で古馬との

 

対戦だったが難なく楽勝で6連勝と記録を伸ばした

 

だがここで同じ芦毛の

 

「遅れてきた怪物タマモクロス」に

 

天皇賞、ジャパンカップと負けるのである

 

G1奪取はならなかった

 

しかし暮れの有馬記念に岡部騎手を配し臨んだ

 

そして見事にタマモクロスを破り

 

G1奪取と最優秀4最牡馬に選ばれたのである

 

年が明けてから騒がしくなった

 

自身の右前脚脚部に不安がでて治療に専念する

 

その一方で馬主に脱税疑惑で別の馬主に

 

譲渡するということが起きたのである

 

2年間の譲渡契約である

 

その金額は5億5千万円

 

べらぼうな金額で契約されたのである

 

この馬はそのことを知る由もない

 

最低2年間でこの金額を上回る

 

稼ぎをしなければならない

 

昔の吉原遊郭への身売りより酷い話である

 

しかしこの馬の右脚は治療を要した

 

復帰は9月のオールカマーと決まった

 

地獄のローテーションの始まりである

 

9月7日   オールカマー  1着

 

10月8日  毎日王冠    1着

 

10月29日 天皇賞     2着

 

11月19日 マイルCS   1着

 

11月26日 ジャパンカップ 2着

 

12月21日 有馬記念    5着

 

もう蹄はボロボロであった

 

その反対に世間はこの馬に酔った

 

この馬の人気はうなぎ登りであった

 

「しかし私には涙しか出てこない、、」

 

なぜ酷使ではないと言えるのだろうか

 

このレースの後にすぐに治療に専念する

 

休養明けの5月

 

安田記念で武豊と初のコンビを組み

 

見事にG1を優勝したのだった

 

続く宝塚記念は2着となり

 

脚部不安で治療に専念する

 

休養明けの10月

 

天皇賞は6着となった

 

続くジャパンカップは11着であった

 

体調が悪い中の出走であった

 

この頃にはファンも限界を知り

 

引退を希望する手紙が数多く届いたという

 

一生懸命に走る姿がまともに観れないのだろう

 

しかし陣営は有馬記念を最後にと決めた

 

もちろんファン投票は1位である

 

騎手も武豊と決まった

 

当日の有馬記念は超満員の観衆で賑わった

 

5月以来の武豊はもうこの馬がピークを過ぎて

 

本調子でないことがわかっていた

 

レースはスローのなか好位に付けて始まった

 

ファン投票は1位だが

 

人気は4番人気だった

 

武豊はラストに賭けた

 

最終の4角を外から出して早めに出た

 

あとはこの馬の勝負根性に託した

 

大歓声のなか直線を懸命に走る

 

先頭に立ちまたまた大歓声があがる

 

そして見事に一番にゴールしたのであった

 

武豊も有馬記念が初勝利であったのだ

 

歓声は止まない

 

むしろ盛り上がっていく

 

そしてどこからともなく

 

「オグリ!」「オグリ!」

 

の大合唱である

 

このコールが叫ばれるなか

 

アナウンサーも

 

「もう充分です」

 

「よくやりました」

 

「胸がジーンとしました」

 

「最高のレースをしました」

 

「充分です、充分すぎます」

 

と声を詰まらせながら実況していた

 

大観衆がウイニングランを見守っている

 

この馬が背負っている宿命を

 

労うように

 

いつまでも、

 

いつまでも、、

 

獲得賞金 9億1251万円