そう、いつだって。

いつだって、敦賀 蓮という人でないと駄目なのだ。


触られることも、触ることも。

求められることも、求めることも。


他の誰かでは、意味が無いし、悪寒が走る。

彼は自分の特別だから。

だから、彼でないと駄目だというのに。

何故、分かってくれないのだろう。



口に出さずとも理解を求めるキョーコに蓮は困惑する。

キョーコが感じた幼い劣情も、なんとなしに触れられた背中も、求め返してくれた口付けも・・・・・

全ては、自分だから・・・・なのだろうか、と。

今まで築き上げてきた自己防衛が、こんなところで邪魔をしてしまう。

しかし一人思い悩んだところで、状況は先に進まない。


「・・・・おれ、だけ」

「そう、です!・・・・敦賀さんだけ」


後半のやはり呟くように、落とされる。

何かを耐えているような、もどかしいような、そんな表情のキョーコが可愛くて、愛おしくて。

先程あけた身体の隙間をゼロにする。

体重を掛けて圧し掛かり、閉じ込めた細い体をしなる程の強さで、抱きしめる。


「・・・ん・・・・くる、し」


キョーコの否定の言葉すら、歓喜に染まっているように感じてしまう自分は、相当舞い上がっているのだろう。

それでも、想いは止まらない。

吸う空気はキョーコの匂いで充満していて、取り戻した正常な思考を蕩けさせる。


「俺も、君だけ」


きちんと視線を絡めて、少しの変化も見過ごさないよう気を配る。

感情がすっぽりと抜け落ちてしまったように、まんまるに開く瞳に軽く唇を寄せた。


「俺の、特別は、キョーコちゃんだけ」


心の奥の一番敏感なところに、響くようにと願いを込めて。

歪曲することも、無視することも出来ないように、言葉を伝える。


「・・・・・戯れが、過ぎます」


否定が返ってくると分かってはいたけれど、実際に響く言葉は憂いで濡れていた。

裏に隠された、感情は・・・・・なんであろうか。


「戯れでもなく、気の迷いでもなく」

「・・・・・」

「最上 キョーコが大切で、大切で・・・・たくさん、愛してあげたい」


シャツを握る指に力が加わったことがわかった。

表情が泣き出してしまうようなものに変わったので、蓮はキョーコの頬に手を添える。


「泣かせたいわけじゃないんだ。嫌がらせをするわけでもない。

ただただ、一人の女性として君を愛してる」

「・・・・・ッ」


キョーコは伝えたい言葉がうまく表現できなくて、ただ息だけを飲み込む。

嬉しくないわけない。悲しいわけでもない。

信用出来ないわけでもなくて・・・・

それでも前面で向けとめようとするには、この状況は、あまりにも大きくて、あまりにも手に余り過ぎてしまう。

伝えたいことなど、答えなど、もう決まっているはずなのに。

それでも言葉に出来ないのは・・・・

愛を求めて、与えられなかった過去の暗い鎖のせいなのだろうか。


自分の感情を表現できないでいるキョーコに、蓮は苦笑して助け舟を出す。

ただ、それは今のキョーコにとって言葉よりも性急に、自分自身が気付かぬ振りをしていた感情と向き合わなくてはならなくなった。












「俺に応えてくれるなら・・・・・

キョーコちゃんから、愛情の触れ合いを頂戴?」












差し出された唇に、自分のものを重ねるまでの時間は、永遠のようで、ほんの一瞬だった。

自分から求める触れ合いは、より感情を昂ぶらせる。

そしてそれは蓮も同様であって、吐く息に再び劣情の色が付く。


「・・・・本気にするから」

「はい・・・・」


交わす言葉を皮切りに、触れ合いは深く深くなっていく。

身体の距離をゼロにして、心の距離をゼロにして。

溶け合う二人の体と心。








この日、キョーコが向き合った感情は、触れ合いの意味と同じもの。














******

昨日のコンプラで行っておきたかった場面。


来月のスケジューリングを見て怯えたので、今日は出来るだけこの話を作ります!

ガソリンは・・・・・白ワインо(ж>▽<)y ☆

甘く、甘く・・・・

愛情の触れ合いを何度となく、繰り返して。

ようやくキョーコの唇にも、触れ合うための力強さが加わったことに、蓮は頬を緩ませる。


求めては、求められ。

求められては、求め返す。


背中のシャツを握る指は、時折広げられて、蓮の背中をシャツ越しに撫で上げる。

逆撫でられる感覚は、日常にはないもので、それだけで肌が粟立ってしまう。

影を潜めた劣情が、また湧き上がる感覚に、少々苦笑しながら、精一杯自らを戒める。

きっと彼女は、意図していないんだからと。

先程のように見失っては、全てがなくなってしまう。


「ねぇ、キョーコちゃん」

「なん、ですか・・・・?」


熱に浮かされてようなキョーコの顔に、先程までの怯えなどなく安心する。

触れ合った唇をそのままにする問いかけは、ただ触れ合うだけよりもより刺激的で、より一層キョーコを蕩けさせた。


もうこのまま、流されてしまおうと決めたのに。

いきなりいつもの先輩のような顔で、窘められて。

それでも感じる体温と、何度となく降ってくる唇に、また惑わされて。

今度こそ、本当に流されてしまおう、と思った時に・・・・・

何故、流されることなど許さない、とでもいうように、声を掛けてくるのだろうか。


頭の片隅で、やっぱり戯れで、本気にした愚かな後輩を窘めようとしているのだろうか、と正常な思考が警鐘を送る。

しかし、それをするのに・・・・肌に直接触れるだろうか。

触られた足が、未だに熱を持っている。


「君は、俺以外でも・・・・こういうことを、許す?」


投げられた言葉は爆弾で。

キョーコの脳内シナプスがうまく繋がらない。








      キミハ


      オレイガイデモ


      コウイウコトヲ


      ユルス?









意味が、分からない。

だって、そんな仮説・・・・ありえないことだから。

この多忙を極める先輩以外の為に、あれだけ苦労して覚えた研修内容を棒に降ったりしない。

この多忙を極める先輩以外の為に、親友に自分の責務を押し付けたりしない。

全ては、敦賀 蓮という人の為なのだから。

他の誰か、という仮説はそもそも成り立つはずが無い。


まんまるに目を開くキョーコを訝しげに見て、蓮は自分の発言がきちんと伝わっていないのだろうかと思い、唇同士に少しの隙間を空けた。

もちろん、キョーコを拒絶する為ではなく。

きちんと、言葉を伝える為に。

そして体重を預けっぱなしだった体を少し起こす。

蓮の意図など知らないキョーコは、離れた体温と唇に、拒絶の意味があると汲み取ってしまう。


上げられては、突き落とされて。

戯れに求めては、また拒絶されて。


心が、どうにかなりそうだった。


求めても、求めても、どうにかならないことくらい分かっている。

だけど、彼の・・・・・特別になりたいと思う心は確かにあって、だからこそ、連日の暴挙を許容出来た。

それなのに、それなのに。

お門違いだと分かっていても、攻めてしまう気持ちを止められない。













「貴方にしか、しません!!

・・・・・・敦賀さんにしか・・・・触られたくない・・・・・」










どんな意味合いを持つ、触れ合いだって・・・・・・貴方だけ、その呟きは空気に溶けてしまうほどな小ささで。

蓮の心を揺さぶるには、大き過ぎる呟きだった。














******

よっし!舞台は整ったと思いたい←

勢いしかないくせに、こういう描写が回りくどすぎて中弛みするんだろうな。。

読みにくかったらごめんなさい(←今更!!


休日出勤はコンプライアンスに引っ掛かるらしいです。

しかーし!書類の提出期限が鬼過ぎて、抜き足差し足で行って参りました。。




彷徨う手は、蓮の頬に触れる寸前でピタッと止まる。

空気から伝わる愛おしい体温に微笑を向けて、捕食者は罪人を許すかのような声で、キョーコに言葉を掛ける。


「触れば、俺は犯罪者じゃなくなるんじゃない?」

「あ・・・・の・・・・」

「だから、ねぇ」

「・・・・・・」

「触って?」


恐る恐るといったように、頬に触れる小さな手。

愛らしいと思う、愛おしいと思う。

だからこそ、きちんと手に・・・・・・・入れたい。


震える手に自分の手を添えて、口元まで持ってくる。

ちゅっとリップ音をさせて、懇願のキスだ、と囁くと、やはりびくりと震える身体。

そして唇を手首まで回した時に、瞳を潤ませ、頬を赤く染めるキョーコと目があった。



嗜虐心以外の何かが沸き起こって、触れていた太腿から手を離した。

体温が感じられなくなり不安に揺れたキョーコをぎゅぅっと抱きしめる。

お互いが、お互いの香りを吸い込んで、その温もりの心地良さに、胸が苦しくなった。


「ねぇ、キョーコちゃん」

「敦賀、さん?」


先程とは打って変わった雰囲気の蓮に戸惑うキョーコ。

それでも抱きしめてくる体温が、求めていたものだったので・・・・

無意識に、そっと背中に腕を回した。









「・・・・・ねぇ、キョーコちゃん」

「は、ぃ」


がっかりとしたような声で自分を呼ぶ声に、違う意味でびくりと身体が震えてしまう。

こんな・・・・・お粗末な身体では、彼の求める欲など解消出来ないのだろうか。

戯れでも・・・・と少し心を傾けたことが、バレてしまったのだろうか。

やはり・・・・・切り捨てられて、しまうのだろうか。

ぐるぐると回る思考は、先程まで拒絶を口にしていたことなど一切を忘れさせて、キョーコに降りかかる。


拒絶の意味も。

受け入れるという意味も。

答えなど一つも出ていないけれど・・・・

それでも、どんな形でも、彼の傍にいたいから。

だから今までの強烈なスキンシップも、今日のセクハラにだって許容してしまえる程なのに。

やはり・・・・・・切り捨てられて、しまうのだろうか。


キョーコはより一層、落ちこむ感情の意味に、まだ気が付かない。






背中のシャツをぎゅっと握りこまれる感覚に、色々な感情が溶けていきそうになる。

本当に手に入れたいと思った少女が、腕の中にいることは大変喜ばしい。

喜ばしい、ことなのだが・・・・・

ここまでの暴挙を働いてきた男の背中に手を回すという行為を受け、どうしたものかと真剣に思ってしまう。


今日までの過剰なスキンシップだって受け入れてくれていたんだから、少しは脈が・・・・と思うのは素人。

キョーコには通じない。

そんなこと学習してきたつもりだった。

だから、特別になりたくて、周りが思わず引いてしまう位のスキンシップを取り続けた。

それだって、きちんとキョーコに伝わっているのかすらも疑わしい。


今回、箍が外れたことは認めよう。

ストッパーなんか存在すらしなかったのではないかと思うくらいだ。

今だって猛る自分自身は彼女に主張している。

こんなピタッとしたスーツで横にこられたら、誰だってそうなるだろう。

そのくらい魅力的なのだから。

それでも、こんな暴挙を許す相手は、自分だけだと信じたい。







「ねぇ、キョーコちゃん?」

「はい」








銀口眼鏡をようやくとり、久し振りに間近で見る瞳の強さに心を奪われながら、何度目かの同じ問いに返事をする。

ふっと気を抜いたような、くしゃりとした微笑みを受けて、心が浮き立とうとした時に・・・・・







唇と唇が、触れあった。

柔らかく、優しく。

時が、止まるように。










「君は、馬鹿か」










そんな呟きすら、甘く響く。

送られる触れ合いは、何かを溶かしていくようにキョーコに衝撃を与え続けた。


感情に名前なんかつけられないけれど、この触れ合いの意味は、蓮自身から教わった。













           愛情の触れ合いという、意味。



















*******

ぐるぐるぐるぐる煮詰まった結果。


いつもながらの、りか印の蓮さんに収まる←

帝王にも、鬼畜にも、ヘタレにも、不憫にもなれない普通の人 敦賀 蓮さん。うひゃー!もう嫌!!

(注*そんな素敵蓮さんは素敵サイト様に行けば沢山見られます。ぐーぐる先生で旅立ちましょう)


リアルでコンプラとセクハラ研修のコンボに参加される、某sakura嬢にエールを送るために・・・w

・・・とか、格好良いこと言おうもんなら石が飛んで来そうなくらいの急展開っぷりでした。。

どんな話も、展開と言う展開が、ワンパタ過ぎて涙がちょちょ切れるわ。(´д`lll)


来月からまた忙しくなるんですって!大変ですね!!←

もう年末商戦のお話ですorz