彷徨う手は、蓮の頬に触れる寸前でピタッと止まる。
空気から伝わる愛おしい体温に微笑を向けて、捕食者は罪人を許すかのような声で、キョーコに言葉を掛ける。
「触れば、俺は犯罪者じゃなくなるんじゃない?」
「あ・・・・の・・・・」
「だから、ねぇ」
「・・・・・・」
「触って?」
恐る恐るといったように、頬に触れる小さな手。
愛らしいと思う、愛おしいと思う。
だからこそ、きちんと手に・・・・・・・入れたい。
震える手に自分の手を添えて、口元まで持ってくる。
ちゅっとリップ音をさせて、懇願のキスだ、と囁くと、やはりびくりと震える身体。
そして唇を手首まで回した時に、瞳を潤ませ、頬を赤く染めるキョーコと目があった。
嗜虐心以外の何かが沸き起こって、触れていた太腿から手を離した。
体温が感じられなくなり不安に揺れたキョーコをぎゅぅっと抱きしめる。
お互いが、お互いの香りを吸い込んで、その温もりの心地良さに、胸が苦しくなった。
「ねぇ、キョーコちゃん」
「敦賀、さん?」
先程とは打って変わった雰囲気の蓮に戸惑うキョーコ。
それでも抱きしめてくる体温が、求めていたものだったので・・・・
無意識に、そっと背中に腕を回した。
「・・・・・ねぇ、キョーコちゃん」
「は、ぃ」
がっかりとしたような声で自分を呼ぶ声に、違う意味でびくりと身体が震えてしまう。
こんな・・・・・お粗末な身体では、彼の求める欲など解消出来ないのだろうか。
戯れでも・・・・と少し心を傾けたことが、バレてしまったのだろうか。
やはり・・・・・切り捨てられて、しまうのだろうか。
ぐるぐると回る思考は、先程まで拒絶を口にしていたことなど一切を忘れさせて、キョーコに降りかかる。
拒絶の意味も。
受け入れるという意味も。
答えなど一つも出ていないけれど・・・・
それでも、どんな形でも、彼の傍にいたいから。
だから今までの強烈なスキンシップも、今日のセクハラにだって許容してしまえる程なのに。
やはり・・・・・・切り捨てられて、しまうのだろうか。
キョーコはより一層、落ちこむ感情の意味に、まだ気が付かない。
背中のシャツをぎゅっと握りこまれる感覚に、色々な感情が溶けていきそうになる。
本当に手に入れたいと思った少女が、腕の中にいることは大変喜ばしい。
喜ばしい、ことなのだが・・・・・
ここまでの暴挙を働いてきた男の背中に手を回すという行為を受け、どうしたものかと真剣に思ってしまう。
今日までの過剰なスキンシップだって受け入れてくれていたんだから、少しは脈が・・・・と思うのは素人。
キョーコには通じない。
そんなこと学習してきたつもりだった。
だから、特別になりたくて、周りが思わず引いてしまう位のスキンシップを取り続けた。
それだって、きちんとキョーコに伝わっているのかすらも疑わしい。
今回、箍が外れたことは認めよう。
ストッパーなんか存在すらしなかったのではないかと思うくらいだ。
今だって猛る自分自身は彼女に主張している。
こんなピタッとしたスーツで横にこられたら、誰だってそうなるだろう。
そのくらい魅力的なのだから。
それでも、こんな暴挙を許す相手は、自分だけだと信じたい。
「ねぇ、キョーコちゃん?」
「はい」
銀口眼鏡をようやくとり、久し振りに間近で見る瞳の強さに心を奪われながら、何度目かの同じ問いに返事をする。
ふっと気を抜いたような、くしゃりとした微笑みを受けて、心が浮き立とうとした時に・・・・・
唇と唇が、触れあった。
柔らかく、優しく。
時が、止まるように。
「君は、馬鹿か」
そんな呟きすら、甘く響く。
送られる触れ合いは、何かを溶かしていくようにキョーコに衝撃を与え続けた。
感情に名前なんかつけられないけれど、この触れ合いの意味は、蓮自身から教わった。
愛情の触れ合いという、意味。
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ぐるぐるぐるぐる煮詰まった結果。
いつもながらの、りか印の蓮さんに収まる←
帝王にも、鬼畜にも、ヘタレにも、不憫にもなれない普通の人 敦賀 蓮さん。うひゃー!もう嫌!!
(注*そんな素敵蓮さんは素敵サイト様に行けば沢山見られます。ぐーぐる先生で旅立ちましょう)
リアルでコンプラとセクハラ研修のコンボに参加される、某sakura嬢にエールを送るために・・・w
・・・とか、格好良いこと言おうもんなら石が飛んで来そうなくらいの急展開っぷりでした。。
どんな話も、展開と言う展開が、ワンパタ過ぎて涙がちょちょ切れるわ。(´д`lll)
来月からまた忙しくなるんですって!大変ですね!!←
もう年末商戦のお話ですorz