寝ている間にダイエット!と言うような怪しげな記事を多々見ることがあります(それらしい事を書いたダイエット本も多いようですが)。 一方では筋肉を鍛えたからと言って基礎代謝は変わらず肥満も筋骨隆々も基礎代謝は同じだとか、肥満の方が基礎代謝が多いだとか、様々な勘違いが横行しているように思いますので、基礎代謝の事を少し書くことにします。
私達の体は食べたものを消化・吸収してエネルギーを得たり、このエネルギーを使って細胞や組織などを合成しています、この時のエネルギー授受をエネルギー代謝と言います。 エネルギー代謝の大部分は私達の体温維持の為に使われています。
このエネルギー代謝は大きく基礎代謝、活動代謝、食事代謝の三つに分けられ、基礎代謝は目を覚まし状態で、且つ安静に保った状態で自律神経により生命維持の為に使用されるエネルギーのことを言い、活動代謝は体を動かす事に使用されエネルギー、食事代謝は食べ物の咀嚼や消化・吸収に伴うエネルギーを言います。通常の日常生活でのエネルギーの消費量の内訳は非常に大雑把に基礎代謝70%、運動代謝20%、食事代謝10%程度ですが、勿論激しい運動などをしますと運動代謝が70%と言う事も起こります。
私達の基礎代謝がどれ位かを測定したデータは数多く有りますが、いずれも大きく違った結果を示しています。何故基礎代謝の測定がバラツクのかと言いますと、その多くは筋肉、肝臓、腎臓、脳、胃腸、心臓などに多く消費されていて各々はいつも一定でないことに基因しています。 脳は頭を使っている時に代謝量は高くなり、心臓も脈拍が高い場合と低い場合では代謝量は変わります(これらは負荷を取り除くと直ぐに落ち着きますが)、胃腸、肝臓、腎臓などでは咀嚼から肝合成・解毒そして排泄までエネルギー消費量は刻々と変わりつつ、そして筋肉は安静時には一定の様に考えられ易いのですが、激しい運動の後には多くの筋肉組織は破壊され新たな強い組織に換わりますので少なくとも数日間は代謝量が高まることになります。 その為常温で12時間位の安静の後に測定をする事になるのですが、運動を抑制したにしろ、絶食をしたにしても全身の代謝を目的の状態にする事は極めて困難となります。 また其処までして基礎代謝量を測定しても余り意味は無いのかも知れません。
そこで、基礎代謝量は体表面に比例しますし、体表面は体重に比例しますので、簡便的に体重を変数とした基礎代謝式が用いられています。この計算式は男女の違い(体脂肪やホルモンの違いによる代謝を考慮か?)、年令の違い(成育期、活動期、老齢期の代謝の違いを考慮か?)で求められます。 当たらずとも遠からず的数式となっています。
さて、基礎代謝はどうすれば上がるのかと言いますと、体の構造的には通常脳や心臓、肝臓、腎臓、胃腸などを鍛える事は出来ませんので、私達の意思で基礎代謝を高めるのは筋肉を鍛える(筋肉量を増す)こと位だと思います。 ここで健康ビジネス(健康ネタでお金儲けをする)では筋力アップで寝ている間にダイエット!などと書き立てることに成っているようです。筋肉の成分のアミノ酸を摂取しましょう!と言うのは論外ですが、僅かな筋トレ程度で基礎代謝が上がる程の筋肉は増加はしません、又筋肉が増加する程の筋トレをしたのであればそのこと自体が最良のダイエット方法と行ったと言う事だと思います。
又、基礎代謝は外気温やホルモンなどの生理活性物質の分泌量などとも複雑に絡みあっていますので、健康な人でも食事等により異なってきます。 また、良質の睡眠を摂ることから考えますと、寝ている間に基礎代謝を高めようとするのは好ましいことでは有りません。
また、先ほどの簡便的な計算式で体重を変数としていますが、肥満などで体脂肪の多い人場合はある程度の脂肪分を差引いて計算する必要があるように思います。 体脂肪には日々の代謝に関与しているものと、脂肪の貯蔵庫として体脂肪として蓄えられているもの(日常的に血液が循環していない)がありますので、血液の循環していない(直接、代謝に関与していない)部分は誤差の原因となると言う事です。健常者が同じ体重で肥満者と筋骨隆々者と基礎代謝が同じなどと言う事はありえません(肥満者がバセドウ氏病に罹った初期には有りえないことは無いと思いますが)。
まだまだ沢山ある、健康ビジネスの氾濫は困ったものです。