いわゆる「お笑い不等式」のバリエーションですが、ここで重要な部分、注目すべき部分は「偉いのはなぜ」になります。プリンとゼリーにばかり目を向けすぎると問題の本質を見誤る可能性があります。
言うまでもないことですが、プリンがゼリーより偉いなんてことはありません。それはゼリーの方が偉い、という意味でももちろんなく、そもそも両者に差異はあっても優劣など存在しません。よしんばあるとしても(絶対に"ない"のですが)、それは「偉い」と表されるべきものでもありません。その意味ではこのお題でのプリンとゼリーを、餃子と焼売、ピカソとゴッホ、北朝鮮と韓国、などに置き換えても同じです。
つまり、このお題はすでに前提の立て方に「ボケ」が入ってきているわけです。そうした場合はひとまずはのっていくのが手です。最初はとにかく肯定の立場に立つのが必須です。否定するのはひとしきりのってからでいいのです。もちろん、つまらない「ボケ」ならばすぐに切って捨ててしまっていいでしょうが、このお題の場合すぐに「そんなことはない」と否定するのは早すぎます。即座に否定したり、疑問を呈する立場を取る、というのは、よほど秀でた表現力がない限りまったく無謀と言わざるを得ません。
さて、ボケ方(ここではのり方と言ってもいいでしょう)ですが、ボケる当人の感覚的な“事実”にすぎない点をさも普遍的真理であるかのように叙述するのが不可欠であるように思います。それは必ずしも、上に挙げた例のようにお題の文を置き換えても通用しなくてはならない、という意味ではありませんが、思考のプロセスとしてそこを一回くぐってきてプリンとゼリーに帰ってきてほしい気がします。
ということで、長い落語のネタを時間の都合とかで途中まで演じて終わってしまうようなつまらなさ、と言って悪ければ物足りなさが残るお題ではあります。