(本稿を書く前に、「ボケ投票」と「君はツッコミ」のお題のページを拝見したのをあらかじめお断り申し上げておきます)
このお題を読んでの私の第一印象は「動き」でした。こういう状況だとリアクションでのボケがもっともスタンダードな方法ではないかと感じます。見せなくてはならないからです。
しかし、お題は「一言」です。では、その「一言」はどういうものであるべきか、を考えると、ボケであろうとすればするほどそれはリアクションとは逆に、「あなた」のみ、もしくは「あなた」と牛のみに限られた世界のものになっていくのではないかと思います。たとえば関係者だとか、観衆だとかを意識しすぎると、そちらにおもねってどうしても「聞かせる」いやらしさが入ってくるような気がしますし、また、牛に対する一言とする場合も、むやみに虚勢を張る必要もありませんが牛に媚びてしまうとその時点で「闘牛士」が成立しなくなります。「内心ビビッてる」というラインでいくのならば、「あなた」の内的世界で完結させて、それ以外の存在はここでは無視するのが上策でしょう。
また、「初闘牛」というのが、闘牛場ってことになるのでしょうけど、そのお題の空間内でどこまで共通の前提として通用しているのかがいまひとつはっきりしていない、という点も指摘できます。ただ、その主な原因は私(たち)の闘牛に対する知識不足にあるのでしょうけれども。たとえば闘牛士がどういう訓練を積んで初闘牛に臨むのか、また、闘牛の興行がどんな次第で開かれるのかというのを、私自身はよく知りません。プロレスや寄席のように前座からスタートするのでしょうか。
「初」だからといって、牛が手加減するということはありえないですから、「そんなはずじゃない」というのを前面に出していくならば、まわりくどいですが「闘牛士界のシステム」というのを背景として自分なりに設定しておき、それに対する裏切り、「話が違う」ということにしておかないとリアルでなくなるように思います。