番外編として、
発展の余地のある大国という事で、ブラジルとロシアの医薬品事情も取り上げてみたいと思います。
引き続きネットにある情報源からのまとめです。
ご興味ある方はお付き合いのほど。
8)ブラジルについて
ブラジルは人口2億600万人。
国民の医療費総支出は15兆円(2015年当時)で、政府の医療費支出は6.7兆円です。
医薬品市場規模は2.5兆円。
うち新薬(特許薬)は1.2兆円で伸び率2.4%となっています。
国民の平均寿命は75歳
死因の1位は心血管系29%、2位はがん18%、3位は糖尿病・腎臓病7%。
公的保険については、SUSと呼ばれる制度があります。
公的医療機関や、政府と契約を結んだ民間医療機関で診療を受ける場合、国民は全て無料です。
ただし、これらの病院は数が少ない事から、常に混雑しており、またサービスや医療レベルの低さもある様で、多くの国民は有料であってもその他の民間病院を利用している様です。
医師の国家試験はなく、医学部(6年間)を卒業後に医師資格を持てる様です。
医師認定試験は存在するものの取得義務はないとの事。
その様な仕組みで医師のレベル差は激しく、資格を持つ専門医は処遇の良い病院に勤める事ができる様です。
そういえばアマゾンの奥地では未だ陰術師とかが治療行為をしているんでしょうかね..?
医師資格に取得義務がないというのには、なにやら伝統医療への配慮とかもありそうな...?
まぁいいか。
さて、医薬品に関して、
2014年に、日本のPMDAとブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)による、医療・保険分野における協力に関する覚書が締結されています。
これは、医薬品、医療機器の規制における協力体制の構築を含むとの事です。
さて、目下どの様な事になっているのか分かりませんが、こうした協力関係により、ブラジルは申請しやすくなっているという事でしょうか?
ブラジルでは、医薬品市場規制審議会(CMED)が医薬品の価格を決定します。
価格調整係数(CAP)、上限政府販売価格(PMVG)が存在し、それに合わせ込まれる様です。
毎年価格調整されます。
過去には、政府によるジェネリック拡大政策が取られ、
世界の製薬会社が自社製品の進出を目論み、ブラジルに製薬工場を建設しました。
海外からの進出組で売上が大きい会社としては、
Sanofi-Aventis、Novartis、Pfizer、Bayer、Astrazeneca Brazilなど。
現地の大手ジェネリックメーカーとしては、
EMS Pharma、Medley、Ache、EuroFarmaといった会社があり、
内資系のシェアは43%です。
日本の製薬会社の進出も比較的盛んです。
ざっと見2018年時点で5社ほどが現地法人を設立しており、複数の現地法人や工場を持つ会社さんもありますね。
ブラジルは、病院に行かず、処方箋なしで薬局が医薬品を販売してしまうケースも多く、また処方箋があっても薬剤師の判断で処方変更してしまう事もある様で、薬剤師の影響力が強い様です。
薬局のマージン率は平均15%と先進国よりも高いのだとか。
薬局を制する会社が市場を制する
といった感じでしょうか?
という事で、ブラジルについては以上です。
9)ロシアについて
ここからは、社会主義国であるロシアについて簡単にまとめたいと思います。
ロシアは人口1.4憶人。
長きに渡る軍事中心政策と医療政策の軽視により、2006年までは国民の人口は減り続けていました。
少子化と寿命の短さが問題だった様です。(当時の平均寿命は65歳)
国民の死因1位は循環器疾患(心臓・脳)で、
なんと約50%。
がんは15%程度です。
男性は特に飲酒が激しく、アルコール由来の病気が多い様子です。
2006年当時、人口減少を憂慮した政府が少子化抑制と、医療の充実に梶を切った事により改善され、現在の平均寿命は70歳との事。
保険については、全国民を対象とした強制国民健康保険があります。
保険財源は、雇用企業と地方行政から徴収されています。
病院は国が運営し、医師は公務員。その数は充実しており、国民1人あたりの医師数は日本の倍です。
国民は、診療などは無料ですが、外来の際に処方される医薬品は自己負担です。
薬局もあり、OTC薬も売られています。
医薬品は政府によって統制されており、
EDLと呼ばれる政府が定めている必須医薬品リストがあります。
収載数は約700品目。
EDLへの収載が決まった医薬品は、入札によりメーカーが決定されます。
価格は非常に安く設定される様で、収載を希望するにあたっては製薬会社はビジネスとして成立するかどうかの判断に迫られる様です。
また、低所得者層を対象とした公的薬剤給付制度(ONLS)があり、約1350万人が対象になっています。
ONLSに収載される医薬品は、それ専用の製剤が別途要求されます。
ロシアは長年、国内の製薬産業が遅れていたため、医薬品を輸入に頼ってきました。
こうした状況を受け、国内の医薬品産業を発展させるべく、2012年にロシア政府主導により国内医薬品産業の国際競争力向上を目指すプログラムが開始された様です。
まずは、国産の医薬品の製造能力の増強です。
これについて2012年以降に行われたのは、
製薬工場の建造(GMP基準)、
外資系製薬会社のロシア工場建造の優遇です。
ゆくゆくは輸出を目指す、という事の様です。
政策が好走し、2015年時点で必須・基礎医薬品については内製化が72%以上となり、
うち国産メーカーの売上シェアは30%程度となっている様です。
全体的には未だ医薬品は海外からの輸入頼みの様ですが、国内工場を増やす政策として取った事の1つに、EDL(必須医薬品収載リスト)収載の際、
国産医薬品の場合は価格を15%上乗せする
というものがあります。
これは外資系製薬会社であっても対象となり、こうした背景により、多くの欧米系メガファーマは、ロシアに自社工場を建造し、現地会社を買収するなどして進出してきた様です。
日本の製薬会社さんの中にもこうして進出した会社があります。
ところで、海外の製薬会社がロシアに医薬品申請するにあたっては、既に海外で承認された医薬品であっても、
改めてロシア国内で臨床試験を行わなければならない、
という法律があります。
中国同様、なかなか厄介ですね。
ただし、政府が指定する希少疾患の治療薬については、海外で取られた臨床試験データでも良い、となっている様です。
海外で先に販売されている医薬品をロシアに申請するにあたっては、欧州20カ国と、申請国の販売価格を参照して薬価が決められます。
いずれの国の価格よりも安く設定する事を求められる様です。
(比較国には、チェコ、ウクライナ、クロアチア、ルーマニアなども含まれます)
という感じで、
淡々と2か国、一気に紹介しました。
その他、欧州各国、中東(特にトルコやイスラエル等)、メキシコ等、個人的に気になる地域は多々ありますが、きりがないのでここらで止めておきます。
長く書き綴ってまいりました
「医薬品業界の現状まとめ」ですが、
次回は最終章
「今後についての考察」をしたいと思います。
