社内の若手向けに書き始めた医薬品業界の現状まとめですが、

実は途中から社内向けよりもこちらへの公開の方が先へ進んでいたりします。

 

今回は最後の章

「今後をどう読むか」

何も考えずにこんな大それた章を付け加えてみたものの、

実際には情報不足もあり、正しいかどうかは皆目自信がありません。

 

とはいえここまで引っ張ったからには

「締め」をする必要もあるので、現状分析と自分なりの考察をしてみたいと思います。

長くなりますので、(文字制限があり)2回に分けて投稿します。

 

なお、本編についてはTwitterで時々業界のお話などをして下さる、

Moogleさん(@Moogle_PhC)に公開前にお読み頂き、所々ご意見を頂きました。

改めてお礼を申し上げます。

 

―――――――目次―――――――

1. 日本の薬事と製薬業界

2. 世界の医薬品開発市場と日本の位置付け

3. アジアの現状

4.今後をどう読むか

――――――――――――――――

 

さて、

話は第1章に戻ります。

政府の薬価引き下げ政策により、マイナス成長に陥った日本の医薬品市場。

 

こうした状況に対して2018年に厚生労働省より、

「日本の製薬企業は積極的に海外に出て欲しい」

といったコメントもあった、という事をお伝えしました。

 

実際には各社の研究開発、アライアンス状況、多角化などを含めて、そういった単純な話ではないでしょう。

しかし、経営的にはやはり海外展開は大きなカギになっている事は確かな様です。

 

第3話でお伝えしましたが、目下、国内主要メーカー12社の売上合計に占める海外売上比率は60%との事。

 

これをもう少し掘り下げてみたいと思います。

 

国内の主要新薬メーカー19社の現在の海外拠点を調べ、

世界地図に進出企業数を色分けしてプロットしてみました。

各社の公開情報から、コツコツと土日に調べたものであります。

対象は自社資本が入った拠点(主に営業拠点)です。

 

 

 

 

結果ですが、

グローバル拠点の数の国別順位は以下の通りでした。

 

1位(18社):米国

2位(14社):中国

3位(13社):イギリス

4位(11社):韓国・シンガポール・台湾・香港

5位(8社):ドイツ・インドネシア・タイ

6位(7社):フランス・スペイン・フィリピン

7位(6社):スイス・イタリア・オランダ

8位(5社):インド

9位(4社):カナダ・ブラジル・デンマーク・アイルランド・マレーシア

 

実際には、現地企業への販売委託や、アライアンスなど、海外進出の方法は様々でして、

拠点数をもって進出状況を判断する事はできませんが、

拠点の所有は本格的な進出とも言えます。

まずはこれを元にまとめてみたいと思います。

 

 

やはり何はさておき米国、

ここは絶対外せない様です。


先端開発の拠点でもあり、

先進国でありながら今後も人口増加が見込まれる成長市場でもあるという。

そして薬価は自由に付けられる。

まさに桃源郷の様な国..と言えるでしょうか。

 

そして次は中国。

市場の大きさと成長性からは外せない、という事でしょうか。

自国主義政策が足かせにはなってはいる様です。

がしかし近年の規制緩和の動きからすると、今後良い方向に向かうかもしれません。

 

欧州に関しては、特に拠点数が多く、延べ合計で 102 拠点です。

実際には上位3社がこの約半数を占めています。

 

欧州は先進国が集中している良いマーケットと言えそうですが、米国同様、ドメスティックの製薬会社も多く、競争は厳しそうです。

1国1国こまめに薬事や商習慣に対応していく必要がありそうです。

 

アジアに関しては、14 社ほどが比較的まんべんなく様々な国に拠点を設けている様です。

今回ブログで取り上げた台湾、韓国、シンガポールは 11 社、インドは5社、マレーシアは4社となっています。

 

 

さて、

逆に、ほぼ進出していないエリアとして、

改めて中東が浮き彫りになりました。

これは、先の第8章でも述べた、ハラールの壁でしょうか?

 

アフリカは、

経済事情もあるでしょうけど、まず、先進国とは医薬品の需要が違うという事があるかもしれません。


未だ感染症と栄養不足による死亡率が60%を超える国が多数あります。


昨年、T 社さんがアフリカと中近東での(新薬等を除く)医薬品の販売権をスイスの製薬会社に売却していますしね。。

 

南米は、5社が拠点を持っている様ですが、ほぼブラジルにかたまっています。


南側の諸国は手付かずの様ですが、

チリなどは調べて見ると平均寿命は 80 歳を超えており、疾患事情も先進国と似ています。

アルゼンチンも平均寿命は 76 歳で疾患事情は同上です。

 

ロシアは、臨床試験を改めてやる必要があるとか、やはり政策面での不安定感などが壁になっているのか、進出社数は少ない様です。



さて、

分かった事をまとめますと、

 

1.各社、先進国を優先して進出・開拓が進んでいる。

欧州に関しては大手数社が先発している状況で、業界全体としては進出は進んでいない。

 

2. アジア成長国への進出は総じて進んでおり、特に中国に対しては期待が大きい様子が伺われる。


シンガポールに多数社が拠点を設けている事から、ASEAN に期待を寄せている状況が伺われる。


インドは今後の成長が期待されるなか、進出企業が多くない状況からは、政策面での厳しさや、独特な特許事情などから進出しづらい様子が伺われる。

 

3.南米に関してはブラジルを除きほぼ未開拓の様子。

 

4. アフリカに進出している企業はおそらく数社のみ。

医薬品に関しては、インドあたりで作られる必須医薬品がかなり安価に販売されているものと推測される。

どちらかと言えば衛生面での課題の方が未だ大きい様に思える。

 

5. オーストラリアは3社。市場としては小規模?

 

6.ロシアは3社。政策面で困難や不安定さあり?

 

7.中東はおそらくハラールの問題で日本の製薬業界が入り込めていない?

 

 

という事で今回は、

日本の製薬会社の世界への進出状況についてまとめてみました。


これらを踏まえて次回は、

日本の製薬業界のグローバル化に関する課題と期待、強みや開発の方向性など、

いよいよMoogleさんのご意見もふまえつつ、核心へと迫ります、、なんて言うとハードルを上げてしまいますが、

頑張ってまとめてみたいと思います。