実録・校内滝めぐり (4)先生と大きな墓に入りたい夜明けまで蠅に逐われながら授業中電話に出ても下駄音が歩くだけ耳を廊下のようにみずいろのとかげを踏むと消えている 教室がその隙にふえている更衣室から火の匂い届くけど風向きは逆 はためく並木歯に睫毛つくようなことしてきたとごめんなさいの後でささやく
実録・校内滝めぐり (3)落葉にぎりつぶす音でもないよりはましな二人の遊ぶ静寂トンネルに出口を作る計画をあなたの声がはなしつづけた木星似の女の子と酸性雨似の男の子の旅行写真を拾うどぶの匂い梨の匂いとまじりあい坂はくるくる下るさすがだ先生に私たちだけのスイッチもつける 迷路の施錠のように
実録・校内滝めぐり (2)星にひび よろけたピアノ止む前に眠れるといいな歩きながら楽譜読める人なら誰でも尊敬する売春婦に馬鹿にされたかった黒板にグラビアモデルの輪郭が消えずにたどりつく朝の門草に水遣る旅だけど教壇を通らなきゃあの草に行けない行き止りや隙間に咲いたコスモスが敏感だった今朝の散歩は
実録・校内滝めぐり (1)釣り人を近頃みない橋をゆく 川風が髪に残す花びら私には宛て名のようにドアがあり笑うときかるくほぞがひきつる鍵は落葉にまじって踏まれてるきみが次のフェイズを見にゆく前に遮断機のむこうで降る夕立ちをつい凝視する点滅がまだなのに線路には線路の滝があることを誰か手紙に書いて丸めた
即詠・水金地火木土天海(冥) 開始 17:25前髪がのびるはやさで垂れてくる水に映っていた空の雲集金袋から覗くたび蝶がとぶ集金人のことはよろしく地方局アナウンサーが飼い殺す鸚鵡に気まぐれにえさをやる防寒ジャンパー一着五千九百円半額セールを待ち火をつける枯れ草に積木をおいて肩の荷をおろしたようにめがねの曇る焦げた土にぽたぽた爪先をたらす歩道はどこかばかり気にして料金所遠のいてゆく天麩羅をほおばる味がラジオからする親の目に海がうつると水面をめがけて噴き上げる息の泡(知らなそうな人をねらって訊く道を冥王星のひかり頼りに) 終了 19:00