新墓か自販機か仮設交番か | 喜劇 眼の前旅館

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短歌のブログ

新墓か自販機か仮設交番か読めない文字をたばこで照らす  我妻俊樹


題詠blog2008、「設」の題でつくった一首。
「新墓」「自販機」「仮設交番」というあきらかに大きさの違うものから絞り込むのに、たばこの火で「読めない文字を」照らすという行為のちぐはぐさ。といったあたりがポイントでしょうか。
寺山修司の「吸いさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず」はとくに意識しなかったと思いますが、今気づいたけど「吸いさし」ってことは火が消えてるんでしょうか。ついてるのかと思ってた。ついてるのかと思ってる無意識が、思い込みに従って寺山の歌を参照した可能性は否定しません。