題詠(2) | 喜劇 眼の前旅館

喜劇 眼の前旅館

短歌のブログ

紙ふぶきまじりの髪を拭きながら嫉妬が趣味よ、と右目をこする

ヘッドフォンで殴りかかってきたくせに友達なのかキスしてくれ

華氏で読み目盛りから瞳をはなす カタカナ、カタカナ、落ちている蝉

煮こごりのうすあかるい午後の電話でするどく言うてきとうなこと

模型列車でじゅうぶん逃げられる魂ただそれだけを言いたかった

「蝋人形輸送中」の札を垂らしたボートが傘でするUターン

はずれくじこすったコインで水を買う それで飲む解熱剤の空き箱

「永遠に続け、格差社会」と祈りながらくたばる便器に手首漬けて

持ち物リストにあれがないのよ今ふかくノートがこめかみをあおぐ音

貧乏人に武器を売るまたは貸すまたは只でやる海びらきのために


題詠blog2009 011~020)