憫笑のくちのかたちで死んでいる犬を跨いでゆく橋まつり
一日警察署長がたすきで拭くめがね われわれは凍るみなもに映る
それはそれは真っ暗な神社を想像したペンキ屋には助手が必要なのだ
ひだまりの犬小屋の壁に「大恐慌」って書くのを見てからすすり泣いた
調度品をむやみに崖で買い込んで三叉路からは勘であるいた
着せたまま縫う 背中にくろい水玉がならぶ動物の検死のように
みずくさと黄色い金魚のよく見えるカウンターにランチの空き皿
蜜を吸う生き物死ねばしばらくは髪飾りとして風にふるえる
希望には翳りを添えて(すばやくてふわふわした動物の剥製)
市街戦と春の立ち去った路地には点々と靴からはえた樹よ
(題詠blog2009 001~010)