息するように活字が飲み込めるといわれる、あのうらやましい健啖派でないかぎり読むべき本は神経を研ぎ澄ませて吟味、車庫入れのような細心さでわが元へ届けるよう読書生活はコントロールされなければならない。
読まなくていい本のページに指がもつれているあいだに見る見る幕がおり、辺りは真っ暗闇というばかばかしい事態がこっちの陣営では腐るほどくりかえされているのです。少食派は連帯を。あの野蛮な大喰らいどものけたたましいテーブルから身を引きはがし、美食と悪食、毒と栄養への最短距離の情報を交換しよう!コップの水だけ置かれたテーブル越しに、ピンポイントの小声で。