読書論1 | 喜劇 眼の前旅館

喜劇 眼の前旅館

短歌のブログ

積み上げて壁をつくりその中で住もうと思えば本は買わなくてはならない。
二週間ごとに図書館で交換されてくる本では、いつまでも住むどころか床に満足な日陰ひとつ作れないから。
それでも、本を買う金がなくてもいつのまにか本は溜まって床に積まれていくけれど、そんなふうに自然に増えていく本は床を底上げして厚みを足していくばかりで、いっこうに垂直の壁を築きはしない。
壁になる本は奪い取るように不自然に衝動的に後悔さえして手に入れるのだ。
そしてあらわれるだろう本の部屋にでも住まなければ考えられないことが、人には実際かなりの数あるはずなのである。