弄ぶ穂村弘 | 喜劇 眼の前旅館

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短歌のブログ

『人生問題集』読了。これは両者の数多い著書の中でも(とはいえ穂村さんの本で何冊か読んでないのはあるし、春日さんの本は少ししか読んでないが)最高レベルに面白い本なのではないか。もともと二人が知己であるせいか、それとも長期間にわたる対談だったからか、穂村弘はすごくリラックスしてあらゆる瞬間に楽しんでるように見えるし、冴えまくってるし、春日武彦はいつもと違って「先生」扱いされないことによってその意外な魅力が引き出されてると思った。
穂村さんのちょっとからかうような、弄ぶようないじり方によって防御が崩されていくところには、こういう組み合わせ(つまり、いじられキャラみたいな人とのカップリング)による穂村さんの対談がもっと読んでみたい(あるいは聞きたい)と思わせるものがある。かつて聴いたことのある穂村さんの対談相手の中では、加藤治郎さんと組み合わせにその片鱗がうかがえたように思う。唐突だが穂村さんの「いじり」を誘発する春日さんや加藤さんは穂村さんにとって一種の“異性”なのではないか、という直感があるがそれはとりあえず措いておく。これから穂村さんの対談企画を立ち上げる方々は、是非穂村さんがいじられキャラの人とじっくり長時間にわたって二人きりで相手を弄びながら進むような企画をお願いしたい。絶対また面白くなるはずなので。

この本の最後に二人の「煩悩108コンテンツ」というノンジャンルの“好きなものリスト”みたいなものがそれぞれ書き出されている。本や映画のリストをつくろうとしては数不足やラインナップの平凡さに絶望して中断してばかりいる私は、なんかいいなあと思ったのでこのリストを今度まねしたい。