私は本を読むのが苦手で、何時間も夢中になって読みふけるということは滅多にない。相当に面白い本であってもすぐに気が散り、ほかの本を手に取ったりネットを見始めたりしてしまう。
だからできるだけ「本を読む以外することがない」に近い状態がほしいのだが、それはたとえば風呂につかりながら読むことだったり、電車など乗り物の中で読んだり、喫茶店やファミレスで読むことだったりするだろう。私にとって今の生活が少しましになった状態、というものを想像するとすれば、これらのことが気軽にできるようになった状態だ。つまり電車はともかく、たとえば週に二、三回ファミレスで払う金の心配はまったくしなくてよくなり、ガス代がもったいないからとシャワーで済ませる必要がなくなった、と思える状態。そういう日がもし来ればちょっとは人生に陽が当たってるという実感がするだろう。
公園で読むという手もあるが、近所の公園は地形的に谷になってることもあって日当たりが悪い。だから天気がいいからといって出かけても、快適に読めるとは限らないところが難点だ。やはり風呂とファミレスのほうがいい。あるいはマクドナルドなどでもいい。ただし家の近所にはファミレスもマクドナルドもない。自転車で通う必要があるが、あいにく自転車はここ十年ばかしパンクしたまま放置してある。たぶんいろいろガタが来ててパンク修理してもすぐには乗れないだろう。自転車も買う必要があるかもしれない。
だが徒歩五分くらいの場所にファミレスがあるのがやはり理想的だ。うちから五分圏内にはくら寿司とすき家がある。どちらも読書には向かない店だ。あとちょっと離れて山田うどん。しかし読書向きの店が近くに全然ないという以外は、なかなか悪くない住環境である。なので金があったらすぐにでもどこか引っ越したい、という気分にはならないのは不幸中の幸いである。