赤ん坊の身体に閉じ込められて、少々ふてくされた気分の私に、テレパシー的な声の主は、本当は言ってはいけないんだけど…というような雰囲気で、「それ結構使えますよ」と助言してくれた。「え、これ?」
「そう、その手足、結構使えますよ」
こんなに思い通りにならないものが使えますと言われても…
使っているうちに、思い通りに動くようになってくるらしいそうだ。
異次元での自由さに比べれば限定的だけど、この世でしか使えないレアものでもあるようだ。
意識すれば直ぐに実現するのとは違い、意識を使って身体を動かし、運が良ければその何割かが思い通りに動いて実現するという、随分まどろっこしいことをするのだから。
この声は女性的だった。位はそんなに高くないようだが、事務的な任務を果たしていた感じだ。
本来最後には、一切何も教えてはいけないのが決まりのようだったが、あはれに思ったのか、ヒントをくれた。
初シリーズものだ!
とにかく、やるべきことはとっても簡単なことだったような気がする。
一切の記憶が消えた後で、例えばキーワードの単語を声に出すだけ、といったようなこと。
異次元からこの3次元に来て、何人も既に試みて、ほぼ皆諦めかけた時に、私は諦めきれずにもう一回やってみる、とこのミッションに自らを投じたような気がする。
何故か書いておかなければと思ったのだけど、こうして書いたことで、次が動き出すかな…