こんにちは
上級食品表示診断士のあごひげにゃんこです
前々回より食品の保存方法表示についてお話させていただいています
賞味期限や消費期限を過ぎていなくても、
保存方法を間違えた食品は、
ちょっとお腹こわすくらいでは済まない、
命に関わるような食中毒
を引き起こす危険性があるので、
最新の注意を払わなければいけません
前回より個別に保存方法の決まりがある食品について、食中毒別に数回にわけてご紹介していっています
初回の基本編はこちら
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前回のリステリア編はこちら
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では参りましょう
もう知っとるわって方は飛ばしてください
食品表示では、おいしく食べられる目安を示す賞味期限や、安全に食べられる期限を示す消費期限などの期限表示と合わせて、適切な保存方法を一括表示内に表示する決まりになっています
期限表示についてのお話をもっと知りたい方は、
こちらも合わせてご覧ください
↓
この基本的な表示だけでは伝わりきらなかったり、不運にも過去に事故が起こってしまった食品に関しては、基本的な表示以外に、消費者にわかりやすく伝えるための個別の表示が決められています
個別の表示の決まり、ほんとたくさんあるのですが、その中でも食中毒に関する部分はとても大事なのでご紹介させていただきます
ということで、ここからが今日の本題
今日はボツリヌスのお話
ボツリヌス菌は土壌や海、川、湖などの泥砂中に生息する細菌です。
この菌は低酸素状態になると増殖し、毒素が産生されます
この毒素は自然界の毒素の中では最強の毒力があるといわれており、
ボツリヌス食中毒は、このボツリヌス菌が作り出す毒素を含む食品を摂取することで発症します
摂取後8時間~36時間で、
吐き気、おう吐や視力障害、言語障害、えん下困難 (物を飲み込みづらくなる)などの神経症状が現れるのが特徴。
重症例では呼吸麻痺により死亡することがあります
そして厄介なのがボツリヌス菌は熱にとても強いのが特徴で、ご家庭の加熱方法(100℃程度)で長時間加熱しても殺菌できません
一般的な菌は加熱して殺菌することができますが、ボツリヌス菌はそれができないので、ご家庭で瓶詰などを作る場合は増やさないように冷蔵するなど適切に保管することが大切ですね
ただし菌そのものは熱に強いですが、
菌が作り出した毒素は熱に弱いので、
食べる前に加熱することで食中毒のリスクを下げることができますよ
低酸素状態となる密封されている食品は
缶詰、瓶詰、真空パックなど。
中でも特に気をつけなければいけないのが真空パック食品です
真空パック食品として身近なものに
レトルトパウチ食品がありますが、
真空パック食品とレトルトパウチ食品は同じものではありません
いわゆるレトルト食品は以下のように定義付けされています↓
**以下、レトルトパウチ食品品質表示基準より抜粋**
レトルトパウチ食品とは、
プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。
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加圧加熱殺菌は120℃ 4分以上(もしくはそれと同程度の加熱条件)とされており、
この殺菌処理をされた食品は常温で流通、保存することが可能です
レトルトパウチ食品は、
この殺菌条件+遮光された包装
ということになりますよ
この殺菌条件を施した食品は、
気密性のある容器に密封され、加圧加熱殺菌された旨が表示されています
さらにレトルトパウチ食品はレトルトパウチ食品である旨を明記することになっています
120℃4分以上殺菌された真空パック食品やレトルトパウチ食品なら常温保存なので問題ないのですが、
この条件をクリアできていない真空パック食品は常温保存できない場合があるので注意が必要ですよ
真空パック食品の中にも、配合を調整して常温で保存できるものもあるのですが、
条件を満たしていない真空パック食品は、
冷蔵で保存しなければ酸素がない環境下で繁殖するボツリヌス菌が増殖してしまい、菌が作り出す毒素で重篤な食中毒を引き起こしてしまう可能性があります
殺菌条件をクリアできていない真空パック食品には要冷蔵や10℃以下で保存する旨の表示がありますよ
しっかり保存方法を確認しましょうね
今日はここまで
最後までお付き合いいただきありがとうございました
参考
真空パック詰食品のボツリヌス食中毒対策(厚生労働省HP)
リーフレット(消費者の皆さまへ)(厚生労働省HP)
ボツリヌス菌(食品衛生の窓(東京都福祉保健局HP))