ドキュメンタリー ひも理論 後編
「量子の世界・超ひも理論(1)」の続きになります。「ひも理論」は、『ひもは振動する小さなエネルギーの糸である』と述べているだけではありません。宇宙の姿を描き出す理論へと発展していくのです。動画を要約しながら進みます。
アインシュタインは「宇宙は時間と空間の織物でできている」と考えました。その織物は歪んだり、伸びたり縮んだりしていると。そうなりますと、「ワームホール」と呼ばれる特殊な空間が存在するかもしれません。
重力波望遠鏡「KAGRA」完成とある映画(2015/11/9)より
ワームホールというのは、遠く離れた空間同士をつなぐトンネルのようなものです。映画「インターステラー」にも登場してきましたね~。しかし、ひとつ問題があります。宇宙の織物に穴を開ける必要があるのですが、アインシュタインの理論では不可能なのです。
「数学的矛盾の解消(496)」により、俄然注目され始めた「超ひも理論」。素粒子から宇宙までを説明できる「大統一理論」への期待が高まりました。しかし、「超ひも理論」はひとつどころか5つも出来てしまいました。
5つの理論は、「振動するひもが基本」となっている等で共通する点はあったのですが、大統一理論に5つのパターンがあるのはいただけません。またもや大統一理論は挫折してしまいました。
≪M理論≫
1995年、そこに現れたのが米物理学者のエドワード・ウィッテンです。彼は、5つの超ひも理論は、同じものをそれぞれ別の側面から見ているだけと考えて、その5つ(I型・ヘテロO型・ヘテロE型・ⅡA型・ⅡB型)を統合したのです。これを「M理論」と云っています。
もうひとつ、「M理論」では空間の次元を必要としています。M理論登場以前では、ひもは10次元の世界で働くとしていましたが、M理論では11次元としました。11次元でないと理論の辻褄が合わないのです。
間もなく研究者たちは、M理論の中に存在している物体に気づきました。ウィッテンが1次元付け加えた結果、ひもは広がって「膜」のようになりました。「ブレーン(膜)」と呼ばれます。
膜と云っても二次元の布のような膜もあれば、ひもと区別がつかないような一次元の膜もあり、三次元やもっと高次元の膜も存在します。
≪並行宇宙≫
「次元が増えれば増えるほど出来ることが増えるようになる」
「私たちの宇宙全体がひとつの膜に存在している」
「はるかに高い次元の空間の中にある」
言い換えますと、私たちは「一塊のパンの中」で暮らしているようなもので、私たちの宇宙はその中のひとつに過ぎなく、他にも沢山の宇宙が存在しているのかもしれません。
「わたしたちの宇宙は一切れのパンなのかもしれない」
この理論が正しければ、他にも沢山の宇宙が存在するはずです。
すぐ隣にある「並行宇宙」・・・私たちはなぜ、それを触ったり、感じたりできないのでしょうか?それは、私たちが高次元の宇宙に漂う小さな膜の中に閉じ込められているだけなのかもしれません。
重力は私たちを地球に繋ぎ止め、地球を太陽の周りで回らせています。しかし実際のところ、私たちは重力に打ち勝っているのです(動画25分頃から)。電磁気力は重力よりはるかに強力です。重力の弱さは、長い間研究者を悩ませてきました。
ここで、「超ひも理論」を使って新しい解釈をしますと、「本当のところ重力は他の力と比べてもそんなに弱くない、弱く見えるだけで、何らかの力で音波のように、宇宙へ拡散しているかもしれない」
「M理論」では、物質は両端のある「ひも」で出来ていると考えており、それぞれの「ひも」の端は、「三次元の膜」に結びついていると考えています。
リング状の重力子(グラビトン)は、膜と結びつかないので他の次元へ自由に逃げていくのです。これが重力の強さを薄めて弱く見せている原因だというのです。これが正しければ、ある可能性が生まれます。
もしわたしたちが、本当にひとつの膜の上で暮らしていて、すぐそばにある「並行宇宙」が存在していたら、重力を通じて感じとることが出来るかもしれません。
◎ 消えていく重力子(グラビトン)を観測すること
◎ 超対称性粒子の発見
証拠はまだ見つかっていません。理論的、数学的には完璧であっても、実験で証明できなければ科学ではないからです。2016年2月に米チームによって発表された重力波は、重力子とはちょっと違うそうです。もしかして・・・岐阜県飛騨市の「KAGRA」が観測したりして~?
「重力波を米チームが観測」(2016/2/12)より
(過去記事)パラレルワールドは実在するのか?(1/21)
近い将来に次元転換が起こります(2016/1/9)
重力波望遠鏡「KAGRA」完成とある映画(2015/11/9)
(参考) 重力子(Wikipedia) 超対称性粒子(Wikipedia)
(参考動画)
神の数式 完全版 第1回 この世は何からできているのか(NHK)
神の数式 完全版 第2回 “重さ”はどこから生まれるのか(NHK)
(参考図書) 量子論のすべてがわかる本(科学雑学研究倶楽部)