香椎01

福岡でまた陥没、JR香椎線線路付近で深さ約1.6メートル、一時運転見合わせ(12/2)

JR九州によると、2日午前11時40分ごろ、福岡県須恵町のJR香椎線須恵中央駅と新原駅の間の線路付近で、縦約60センチ、横約30センチ、深さ約1.6メートルの陥没が見つかった。一部区間で運転を見合わせ、穴を埋め戻した。(中略)

香椎02

香椎線は西戸崎駅(福岡市東区)と宇美駅(福岡県宇美町)を結び、一部区間が「海の中道線」の愛称で呼ばれている。(引用終了)

香椎03

橙色の線がJR香椎線、西戸崎、香椎神宮、宇美(紫印)

香椎宮の楼門昇龍道の旅(4)「合わせ鏡の法則」より)
香椎宮01

【バス転落事故】入山峠に祭祀遺跡があった(1/15)より引用

私は昔、推理小説を読んでいたことがあり、ずぅーと気になっている地名がふたつあります。ひとつは松本清張作『点と線』の舞台になった福岡県の【香椎駅】【香椎海岸】、そしてもうひとつが【碓氷峠】です。(引用終了)

点と線01

「点と線」は昭和32年、雑誌「旅」に連載された推理小説で、国鉄全盛期を背景にしています。よって、新幹線は開通していませんし、飛行機による旅も一般的ではありませんでした。

「点と線」の事件の発端は「香椎駅」近くの海岸で、男女の心中と思われる遺体の発見から始まります。下図の緑印付近が遺体発見現場と思われます。駅は「国鉄香椎駅」「西鉄香椎駅」の二つあり、これが犯人のトリックに使われました。

香椎04

「点と線」 ノスタルジック香椎より引用

松本清張先生は「点と線」の中で、香椎をつぎのように紹介しています。

「鹿児島本線で門司方面から行くと、博多につく三つ手前に香椎という小さな駅がある。この駅をおりて山の方に行くと、もとの官幣大社香椎宮、海の方に行くと博多湾を見わたす海岸に出る。

前面には「海の中道」が帯のように伸びて、その端に志賀島の山が海に浮び、その左の方には残の島がかすむ眺望のきれいなところである。この海岸を香椎潟といった。昔の「橿日の浦」である。大宰師であった大伴旅人はここに遊んで、「いざ児ども香椎の潟に白妙の袖さへぬれて朝菜摘みてむ」と詠んだ。」

万葉歌碑(香椎潟)
万葉歌碑

≪国鉄香椎駅と西鉄香椎駅のトリック≫

① 果物屋の店主が国鉄香椎駅午後9時24分着(25分発)の列車から降りてきた男女一組を見ている。

② 西鉄香椎駅午後9時35分着で降りた会社員が自分を追い越して行った男女一組を見ている。

③ この男女が同一であれば国鉄香椎駅から西鉄香椎駅まで11分かかって歩いていることになる。

④ 自分が何度かゆっくり歩いても6分とかからない。香椎には同時刻に二組の男女がいたのではないか?(引用終了)

点と線02

この小説の鍵は「列車の時刻表」です。あまりにも有名な東京駅15番ホームと13番ホームのわずか4分間の隙間・・・。二つ目のトリックは「時刻表トリック」で、三つ目のトリックは「青函連絡船と飛行機のトリック」です。

時代背景が違うので、現代人が読むと多少の違和感を感じるかもしれませんが、あの時代は国鉄全盛期で、飛行機はお金持ちしか利用できなかったので仕方がないのですよ~。

2015年テレ朝系放送の「点と線」より
点と線03

さて、冒頭で取り上げました「JR香椎線での陥没穴」ですが、熊本地震(4/14)の余震は現在でも続いておりますので、周辺の地盤が揺らいでくるのも当然だと思われます。先日の「博多陥没穴」は地下鉄延伸工事が原因とは一概に言えないような気がしてきました。

ひょんなことから、松本清張の「点と線」につながりました。高校生の時に読んだのですが、ずぅーと気になっていた「香椎」という地名がウン十年経ってから蘇ってきたことに感慨深いものがあります。