2020年8月21日(金) はれ 3日目 後編
最終日、島を離れるまであと数時間。
残り時間をどう過ごすべきか、港を眺めながら考え中。
確かに、この島にはいわゆるリゾート地的な娯楽は無いのかもしれない。
でも島のサイズに収まらないほどの豊かな自然が詰まっている。
もう少しだけ日常を忘れて漂流してみようか。
飛島は南方系の常緑広葉樹・タブノキの北限とされています。
朝日を拝んだ鼻戸崎…こんなキレイな海だったとは。
巨木の森はつづく。
樹齢300年クラスのアカマツもタブノキに負けじとそそり立っています。
もはやニンゲンなど虫ケラ同然。
あれだけ全力で鳴いたら一週間で死んでも思い残すことはないでしょう。
なんとも神秘的な樹形ですね。
惚れてまうやろー。
圧倒的な生命力を感じます。
耳をつんざくセミの咆哮はあらゆる生を肯定するかのよう。
巨木たちのハルマゲドン。
「小サキ者ヨ…。」
我が生涯に一片の悔いなし。
さて、あと一ヶ所だけ、まだ下りていない浜を目指します。
藪を越えていくと…見えてきました。
おおっ!ここがミヤダ浜。
北に見えるのが八幡崎、そして鐘を鳴らした展望台。
南には荒崎と御積島。
この海に入らずにいられようか。
しかしこの透明感はどうよ。
いやー堪能しました。名残惜しいですが、そろそろいい時間です。
チェックアウトの際に女将さんと記念写真を撮らせて頂きました。
出港前に「しまかへ」でシメていきましょう。
昼メシ。
隣のマリンプラザを見ると、観光客と思しき一団が出発。
そりゃ全ての事業が順風満帆というわけではないでしょう。
乗船時間となりました。
シャキーン。
出港です。
あっという間に酒田港です。
何気ない道路もなんだか新鮮な感じがします。
復路はあえて日本海沿いを走ります。
笹川流れの沖に浮かぶのは粟島。
以上。
ぼくのなつやすみ、おわり。
「お前は今この瞬間を全力で生きているのか?」
島の西岸のちょうど真ん中に位置します。
良い。実に良い。
無人島に流れ着いたらこんな感じなのかも。
海パンは宿に置いてきてしまったので…とりあえず足だけ。
(全裸は自重します)
すげー暖かい…。全然気持ち良くない。
足湯だと思えば…。
飛島はこのままでいいのかもしれない。
変に開発なんてしなくても、飛島が飛島であるだけで価値がある。
そんな気がします。
もう何周目だかわからないけれど、ファイナルラップ。
3日目の関係図。
女将さんは飛島生まれの飛島育ちです。
沢口旅館の女将にして合同会社とびしまの幹部でもいらっしゃいます。
映画「島にて」の中でも島のキーパーソン的な存在でしたね。
スクリーンの印象と変わらない凛とした佇まいが印象的な方でした。
色々お世話になりました。またお目にかかりましょう。
おっ、今日は何やら賑わっている。
そうか、金曜日だから世間的には週末なんですね。
観光客の姿も昨日よりは多く見られます。
島の外食市場を独占する「しまかへ」。
競合店が存在しない、まさにブルーオーシャン。
やはり合同会社とびしまが企画している観光ガイドツアーのようです。
先導するガイドさんは…昨日しまかへで接客されていた方ですね。
この島は合同会社とびしま抜きではもはや存続し得なくなっているのでは。
もしかしたら上手くいかないことの方が多いかもしれない。
でも若い人たちが未来の青写真を描いて奮闘している。
その日々にこそ価値があるのではないか。
酒田港と同様、タラップを自走して乗り込みます。
ありがとう、飛島。
………。
飛島の豊かで美しい自然の数々。
そして過疎の村が直面する現実という二面性。
複雑な感情が湧き上がります。
映画「島にて」を観たとき、この島に住むのは絶対に嫌だと思いました。
私は農村地帯の限界集落(予備軍)で生まれ育ち今も暮らす田舎者です。
ムラ社会の「よくない面」は嫌というほど知っているつもりです。
そんな私の地元を遥かに上回る限界離島に未来などあるのか…?
飛島で生まれた人は「飛島には帰ってくるな」と言われて育つといいます。
島に残るのは高齢者ばかりで昔ながらの生活を変えるつもりもない。
その島にU&Iターンしてきた若者たちが合同会社とびしまを立ち上げました。
言わば「日本の地方の縮図」に投じられた一石。
波紋が広がりビッグウェーブとなるのか。
飛島の活性化が成し遂げられた暁には日本中の視線がこの島に注がれるでしょう。
やはり…飛島とは違うなぁ。
飛島には信号も交差点も無かったし。
酒田まで来てラーメン食べずに帰る手はないよなぁ、ということで。
これが酒田のワンタンメン。
嗚呼………やはり私はラーメン屋もない離島には住めない(笑)。
(無いなら自分で立ち上げるか?)
…なんだろう。ただ走っているだけなのにどうしようもなく楽しい。
このまま何時間でも走っていられそうな気分です。
飛島の、あの界王星のような(笑)狭さから解放された喜びなのか。
私は、私たちは、どれほど恵まれた環境で暮らしているのか。
足るを知る。
そこに気づけただけでも旅をした甲斐があったと言えるのかもしれない。
あの島にもきっとまた違う世界線があるのだろう。
島はいいねぇ、島は。
ぼくのなつやすみ、おわり。