歪んだ鏡 【Un miroir tordu】 | Mr.Doredore の Blog

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映画 Scen no.3-19 カチンコ start


Mr.Doredore の Blog-d&d2


ケンジの場合―


段落・・・


タケシとマコトが帰っていった。 静寂だけが残る・・・。


一見して沈着冷静に振舞うケンジだが、


内面は すっかり捻じ曲がった心を露呈していた。


マコトから悪い知らせを聞いてしまった・・・。


貴子が入院した・・・。


病の原因は自分にあるんじゃないか・・・


と 懐疑の念が浮上したからだった。


半年前、同期のマサシから クラス会やるから


たまには出席したらと促され ケンジは渋々と参加した。


クラス会での二次会への通り道で 後ろから


突然 女性の声が聞こえた。


― 貴子とは 三年間一緒のクラスにいた。


クラスの委員長が ケンジで、才女の貴子は 副委員長だった。


貴子は 大きな瞳が可愛く頭も良くクラスの男性群の人気者だった。


ぶっきら棒で 堅物のケンジは、


彼女にはなるべく無関心を装って接していた。


内心では彼女に好意を抱き素直に言えないでいるケンジだった。


引く手あまたの貴子に特定の彼氏がいたかどうかも知らずにいた。


俺、関係ないなっ!―


段落―


「私、ケンジくんのこと好きだよっ!」


「・・・!」 


驚いて振り返ると そこに貴子の熱い真剣な眼差しがあった。


ケンジは 不意を衝かれた驚きと一緒に 照れくささもあって


無意識に貴子の頭部を手のひらで ど突いてしまう。


二三歩前につんのめった貴子・・・、


その時 クラスのみんなも見ていた。


二次会の席の真向かいに座った彼女、アイラインが少し乱れていた。


泣いたんだろうか・・・、笑顔が新鮮に感じた。


後になってから ぐずぐずと思い悩む日が続いた。


今も試験勉強とバイトに明け暮れる毎日を過ごしている。


ケンジ自体、司法試験に受かり今の不安定な状態を脱っしない限り、


先は見えない。


素直になれない自分のことを責めた。


それから月日は無情に過ぎた・・・。


貴子から日本舞踊の発表会があり、入場券を買って欲しいという連絡があった。


土曜の午後に こちらに来ると言う。


「これが最後だから・・・」 とっ言って 貴子は 受話器を置いた。


ケンジの週末は、仕事で相変わらず忙しかった。


― A Hard Day's Night.


やはり接客中の忙しい時間帯に貴子は友人を連れてやって来た。


その時、そのシーンを マコトが一部始終を見ていた。


仕事の後にマコトに喫茶店に呼び出され しつこく聞かれることになる・・・、


隠し事が出来ない性分のケンジは、思わず貴子のことを吐露してしまう・・・。


「お前 あんな可愛い子、何故 頬ってられるんだっ!」


と マコトに怒り心頭で詰め寄られ、


その場で貴子に電話することになる・・・、


だが、その時・・・、


そこに居合わせた客グループが異様に盛り上がっていたのか


その瞬間、下品な笑い声が電話口に聞こえてきた。


勘のいい彼女は、飲んだくれて酔っ払って電話しているのだろうと不機嫌だった。


その時 ケンジは 初めてプライドを金繰り捨てて咄嗟に詫びるのだが、


貴子も 変に冷静で ギクシャクとした おかしな会話になってしまい


「また、今度にしてねっ」


―The End. それで終わりの筈だった。


段落―


しかし、翌日の午前中、貴子から電話が掛かってくる。


仲直りの連絡ぐらいに思っていたが、内容はまったく違っていた。


「マコトさんて人から 電話があったの!」


思わぬ展開に息を呑む・・・


「あなたのことで話があるから 喫茶店で会えないって言うの!」


このときのケンジは呼吸をしていなかった思われる。


「ケンジくん、どういうつもりなんですか!」 怒っている。 


「◎×△□・・・!?」


自失呆然言語障害を引き起こして立ち尽くすケンジがそこにいた。


「△□〇×・・・!?」


「私、発表会が近いから毎日練習でくたくたなの!」


「×△□〇・・・!?」


「もう 連絡して欲しくないっ!」


貴子は、怒ったまま電話を切った。


それから数分も経たずにマコトが面目なさそうな顔をしてやって来た。


言い訳がましいことを いつもの調子でいっている。


マコトのお節介が 問題を複雑にしたようだ。


結局、折れて謝ることを知らないケンジは、


それから彼女に連絡をすることをまったく止めた。


― Fnish.


段落―


それは、やはり土曜日の夕方の出来事だった。


思いっきりの雨と強風で店の立て看板が 飛ばされ後片付けをした。


煙草が切れたので 傘を差して近くのコンビに買いに行くことした。


強い雨と風の中傘を立てながら 赤い傘とすれ違った・・・。


貴子のような気がした・・・。


だが、夕闇で暗く眼鏡が雨で濡れていたケンジには


まるっきり確信がなかった。


それからのケンジは、変なプライドとのバトルが始まった。


― Long Battle.


そして、今さっきマコトから彼女のことを知らされた・・・。


「貴子さん、体調が悪くて入院したんだって・・・」


ウオッシュキャビネットのミラーに、


一向に素直になれない忌々しいヤツが 写っていた。


 ・・・つづく


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