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Scene no.3-9
start
夏だと言うのに お天気がハッキリしない毎日が過ぎていた。
タカネの心模様も相変わらずどんよりとしていた。
空のせいではないのは 分かっていた。
行きつけの喫茶店の前を通ると 窓越しに ケンジとタケシの姿が見えた。
「お二人 仲良くお揃いで 密談ですか?」
なんて 挨拶しても 二人は だんまりを決めているかのように 静かだった。
「いらっしゃい」 愛想の良いマスターの挨拶を尻目に 同じ席につくと、
ケンジは、朝刊を広げて眺めていた。
時折 悲しそうな表情を浮かべている。
恐らく 社会面の記事でも見ているのだろう・・・、
「酷いよなっ」 と、ケンジがポツリと洩らす。
最近 頻繁に多発している 悪質というより残忍で陰湿、
且つ 悲惨な事件せいだ。
「陳腐というより あきれ返るなっ! かける言葉すら思いつかないよっ」
ため息交じりのケンジに、
普段 寡黙なタケシが 珍しく口を開いた。
「それは、至極簡単な事に 起因していると思うよっ」
ケンジは、真顔で タケシの顔を見た。
「ふ~ん、そんなに簡単ですか・・・!?」
タケシは 話を続けた。
「要するに、血の気の多い人間が増えたからさっ」
「すぐにキレるヤツが 多すぎない?」
「キレやすくなったのには、原因がチャンとある。」
ケンジは タケシの口から次に出てくる言葉に耳を凝らす。
「複雑な家庭環境や・・・、 不安定な社会事情も・・・、」
「当然 ストレスに 反映されているかも知れないが・・・、」
「根本は、日本の食事情の欧米化が大きく関与していると思うよっ」
そして、
「最近、メタボなんていうのも カロリーの過剰摂取からの問題だろう!」
「貧困に喘いだ時代は 遥か昔に遠かりしさっ」
「従来の質素な日本食とは異なる肉中心の食事が浸透したせいだと思うねっ」
話は続く、
「みんな、肉、肉、肉って言ってるだろう~」
「動物性たんぱく質の食事がメインになると・・・、」
「不思議なことに 人間ってのは、怒りっぽくなるみたいだよっ」
すかさず ケンジが、
「なんで、そんな風に思うんだよっ」
と、聞き返すと タケシは、
「一時期、体調不良で 食事制限した時期があってねっ!」
「その時 周りのみんなと違って そんな感じが したのさっ!」
と、ケンジの顔を直視し、話は続けた。
「世界的に食料危機だなんて巷で言ってるけど、根本的に違うと思ってるよっ」
「エコだ!エコです!なんてお題目も聞くけど違うような気もする。」
「穀物の大半は 食肉の生産のための家畜の餌に振り分けられているのが現実で、」
「世界の食文化そのものが 大きく関わっているように感じるんだ。」
「飽食の時代なんていってるから さらに我慢できなくなっているのかもねっ」
「質素な日本食が 世界では ヘルシーだって認知されてるだろう!」
「歴史を見ても 獣の肉を食べるようになってから・・・、」
「人間同士の醜い争いが起きるようになった気もするしねっ」
「ナンセンスかもしれないが、俺はそう思ってるよっ」
タケシは きっぱりと言った。
「じゃぁ!どうすればいいんだ!」
ケンジは剝きになって言うと、
「そんなことは お偉いさんの考えることだろう!」
「俺の知ったこっちゃないねっ!」
と、素っ気のない返事が返ってきた。
タカネとしては、ケンジに別の話を聞きたかったのだ・・・、
・・・ つづく
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