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Scene no.2-11
Start
床に入り、うつらうつらとしていて熟睡はしていなかった。
隣に寝ていた彼が、物音を立てまいとしながら静かに起き上がり
部屋を出て行った。
そして、すぐ部屋に戻ってきた。
やおら、寝ているボクに話しかける。
「ビール買ってきたんですけど・・飲みませんか・・」
「・・・どうしましたか、」
目の前に缶ビールが数本並んでいる。
「なんか、先ほどの話聞いてからドキドキして眠れないんです。」
「それじゃ、ボクなにかツマミ買って来るねっ」
ボクも初対面の見ず知らずの人に、
づけづけ物を言い過ぎたことを反省した。
仕事で各地を移動するときは、いつも神経の高ぶりを感じ、
発奮しないように心がけてはいるものの、
筋書きのないストーリーは、やはり予測が付かないものだ・・・。
部屋に戻ると、彼の表情が和らいでいるのを感じた。
「グラスは、使わないの?」
「いえっ!このままで俺は構わないです。」
そう言って、彼は、二本目の口を切った。
「なんか、久々にいい話聞いたような感じです。」
ポツリと言った。
「家にいると・・ 父も母もまるで腫れ物に触るみたいに・・」
「何にも言わないんです。」
「それが・・ 逆に辛いんですよねっ」
「何か言ってくれれば良いのに・・」
ご両親の気持ちが痛いほどに感じた。
「それは、ねっ・・・」
「本当に、君の事を心配されてるからなんだよっ」
続けた・・・
「この世で、わが子の心配しない親なんて、いやしない!」
「言葉で伝えることって愛情が深ければ深いほど寡黙になるものなんだよっ」
「それって・・・」
話を さらに続けた・・・
「ある方から薦められた本があってさ・・・」
「不思議なんだその本・・・」
「読んでいるうちに、無意識に涙が零れてくるんだ・・・」
「ボク、可笑しなこと言ってるよねっ」
「・・・」
独白がつづく
「その本に書いてあるあらましは ・・・ 、 ・・・ 。」
彼は、僕の話に耳を傾けて聞いてくれた。
彼も涙ぐんでいた。
真実は、何者にも変えがたく尊いものなのだ。
ビールが、空になった。
「もう少し飲みたい気分だねっ」
この旅館で、まだ起きているのは、
僕たちだけだろうなっと思いながら、コソコソと二人して自販機に向かった。
鳥の囀りが・・・ 聞こえてくるような・・・
そんな清清しい朝を迎えたのは言うまでもないことかも知れない。
互いに身支度をして、ネグラを後にした。
別れ際に、
「これからのスケジュールは・・・?」
「京都の町、少し見て歩いてから郷里に帰ることにしました。」
彼の表情に変化が見られた。 明るい笑顔・・・。
手を振りながら、ボクもまた、駅に向かって歩いた。
こんな朝もあるんだ。
・・・つづく
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