Etareta(エタレッタ)というチェコスロバキア出身のカメラ。
プラハにあったETA社によって1946年からわずか2年余りの間の生産。
チェコの近代はヨーロッパの侵略の歴史に翻弄され、このカメラが作られた頃はナチスドイツの支配から解放され、共産主義の支配がやってくるまでのわずかな期間でした。
動乱の中で生み出されたカメラとはいえ、ボディはアルミ削り出しで大変美しく、精巧に作られています。
この個体は本来、沈胴式レンズですがレンズの繰り出し部分が固着してどうにもならない状態で私の手元にやってきました。今回はレンズ部分を取り外してミラーレス用にライカMマウントに換装することに。
レンズを取り外すため、内部の構造を確認。
内部はかなりシンプルな作りで、びっくりする。当時のカメラは、レンズ側にシャッター機構が入っているため、本体内部はフィルム巻き上げとカウンターのみ。
レンズを外すにはレンズの後玉のリングネジを外せば良いのだが、どうも硬くて回らない。
リングが回らない時の常套手段、無水アルコール流し、ドライヤー加熱、振動と段階的に試してみるも全くダメ。沈胴部分の固着がひび割れたメッキの具合からして、地の金属が錆びて膨張しているように思う。
機械物に外科的手段は元に戻らなくなるのでやりたくない一手だが、結局どうにもならず、レンズを止めているリングを切って外すことにした。
狭い開口部からの切断なので、レンズと本体に余計な傷を付けないように注意して作業する。
格闘すること30分でリング切断・レンズ取り外しが完了。
レンズさえ取れれば、あとは分解清掃するのみ。
幸い、シャッター機構もレンズ自体も綺麗だったので一通りアルコール清掃して、ヘリコイドはグリス交換。
組み直して作業完了。レンズコーティングがこの時代はモノコーティングなので、レンズは透明です。
カビもなかったので綺麗な状態で摘出できました。
後はLMマウントに付くように改造を行います。
レンズのボディ側の径が、Cマウントにぴったり嵌るようだったので、Cマウントのスペーサーを利用することに。
レンズのフランジバック設定が結構長めだったのでボディーとの接続はCマウントのスペーサーを繋ぐ形しました。
マウントはボディキャップに穴あけして、CマウントスペーサーをUVボンドで接着。
Etaretaの沈胴式レンズをちょっと再現。(沈胴しませんが。。。)
本体につけるとこんな感じ。なかなか風格のある見た目になりました。
実写編はまた次回。