振り子時計 香夕山ゆみ
目的はあくまでも田舎の祖父の家の家財整理であって柱時計の修理ではない。
子供の頃の思い出が半分を構成する。
幸せ者の日常 西方まさき
オチを期待した読者を期待し、「裏切った」と確信している作家。これも「幸せ者」の条件か?
アットホームな混雑列車 聖澤瑞香
アットホーム【at home】=形動]自分の家にいるようにくつろげるさま。
親切を行っても、受けても、登場人物たちは、さほどくつろいでいるわけでもない。親切の理由を説明したり、弁解したりしている。親切はさほどスムーズには運んでない。
人のために母の教えを実行する。温情の連鎖という小説。
家庭科の宿題 日幹忠雄
「なに言ってんの、男の子は男の子で大変じゃない」のオチが、千人針とは、作家の精神が戦中と変わってないことに驚く。それも日清・日露戦争の頃始まった物だというから、時代錯誤すぎるのではないか。象徴的な表現としても。
天啓博士 弁闘
天啓=天が真理を人間に示すこと。天の啓示。
それが真であることは、証拠と同一であることを確かめること。
たとえば、三女の人が叫び声を聞いた時間と、死亡推定時刻が一致する、とか。
相手が神様と一致するのは、博士の感覚であり主観ではある。
阿刀田高 選評
アナログを尊ぶのは懐古的。最近では外国人が盆栽を注目し大金をはたいているというが、それほどのレベルではない。
主人公の夢はロケット開発者だが、小説は思い出なつかしさが支配。
庶民的、善意、なる人間味が小説には大切か。