1889.2.22 刺客西野文太郎小伝(連載企画)
22日から、朝日新聞は、西野の経歴を紹介する連載企画を始めます。
その解説文には、「兇行ハ既に許さゞるの国典を犯せりもの」とあり、凶行に関しては許されないものという認識があることは確認できます。
そのうえで、西野がこのような凶行に及ぶに至るまでの行動と言動について、朝日新聞のこれまで取材をもとに、西野の経歴を紹介しているわけです。
世間が、この事件あるいは西野について「悉知せまほしく」、つまり
「全部知りたい!」
と思っていることが、この連載企画が始まった背景なわけです。
出身地、生年月日、父の経歴から筆を起こしております。
読者は、むさぼるように読んだのではないでしょうか。
読者の「知りたい」欲望に応えることが、新聞の役目だし、新聞にしかできないことだし、結果、それが売上に繋がるという循環になるんだろうと思います。
確かに、「悉知」したいと思っている人も多数いただろうけれど、
一方で、新聞社に寄せられる声だけを頼りに、世間の動向を見定めるのもいかがなものかなぁと思う気持ちもあります。
売上アップのために世相におもねる雑誌も出てくるし、
国粋的思いが高じて暗殺の片棒を担ぐような記事も出てきますが(後述)、
朝日新聞はまだ常識的な範囲内だと、個人的には思います。
新聞の歴史はまだ浅いので仕方がないこと、なのかもしれません。