おぼろに幻を見るとか気配がするとか、そういうのとは少し違う。思い浮かぶ、というのが近いかもしれない。自宅マンションの敷地や、近くのドラッグストアの行き帰り、バス停に続く道。マンションのエントランスで感じることもある。決まって、冬の服装だ。黒いピーコート、マフラー、黒いジーンズ、もっさりした髪、少し丸っこく前かがみ。子ども時代や、学生時代の姿でもなく、ちょっと前の冬、そんな感じで。涙が出るんだ、家の周り歩いていると。あれはなんなんだろう。