ないないさっきお線香をあげた。「ふと、あんたにお線香あげる日が来るなんて」と語りかけた。遺影が、「ないない」って笑った。とたんに霊安室に寝かされていた顔、まだ温かい抱きしめた感触が、押し寄せてきて、「ないない」って言ったじゃん、と、時間の順序が狂った気がした。何度思い出すんだろう。家の内外で感じる気配は、もどかしいほどおぼろげなのに、なんでその時は、鮮明なのだろう。楽しそうに笑ってる、その写真の顔が、ちゃんと動いて息しているところが見たいのに。