アカペラサークルの先輩に聞いても
プロの歌手に聞いても
ボイトレの先生に聞いても

自分の声は全く改善されていかない。

腹式呼吸ができていないからだ

本当の腹式呼吸ではないのだ

腹筋に力を入れるだけではだめ
本当は腰の周りも膨らむはず

息を吐いてもお腹はへこまないのだ

等々・・・

ボイストレーニングについて、知識をつけた先生方が増えてきた昨今、上記のようなことを吹き込む先生は減ってきたものの

まだまだいます。

私は運良く、その負のスパイラルから抜け出すことができました。

それは、私が藁をもすがる思いで通い始めた大手の音楽スクールに唯一いた、先進的なトレーナーの存在のおかげでした。


【先進的トレーナーが教えてくれた教科書】

コーネリウス・リード著
「ベル・カント唱法」

でした。

今やボイトレの基礎、古典とさえ言えるこの本ですが

冒頭に挙げた、私の周りの方々は
誰一人ご存知ではなかったのです。

イタリア声楽黄金時代のトレーニング方法こそ至高であるということなのですが

現代のトレーニング方法は、その手順をすっ飛ばしてしまったがために、十分なトレーニングができない。

そればかりか有害でさえあるトレーニング方法を流布させてしまっている。

その代表格が

腹式呼吸

そして、その手順短縮化を試みた研究者自身が

「誤りだった」と認めたにも関わらず

燃え移った炎は消し止められなかった。


腹式呼吸は発声のトレーニングにおいて
科学的に何の意味も持たない

と研究者が認めているのに

未だにこれだけ広まっているのです。

このことが、リードの本には書かれていました。

私は大きな衝撃を受けたとともに
危機感も覚えました。

これは、自分の周りにも教えてあげなくてはならないのでは・・・

私の発声に関する学びは、本当の意味でここから始まったのでした。


【もうひとつ教えてもらった教科書】

このリードの流派を受け継ぎ、進化させたというのが

ボイトレ界では有名な弓場先生の
YUBAメソッド。

声をオモテ声、ウラ声に分け

それぞれを鍛えるトレーニング

それぞれを融合させるトレーニング

によって、低音から高音までを自在にコントロールすることを目指すものです。
(ざっくりした説明)

ベルカントにおいて、
胸声、頭声、声区分離、声区融合
さらにメッサディヴォーチェ、ヴォーチェディフィンテといった
比較的難解でイメージしにくい用語やトレーニング方法であるのに対し

YUBAメソッドは上記のようにわかりやすくまとめられているのが大きな特徴かと思います。


【伝えたい思い】

誰よりも腹式呼吸を練習してきたつもりです。
しかし悩みは解決しなかった。

「正しい腹式呼吸ができていないからだ」
「呼吸に声を乗せることができていない」
「力の入る部分が違う、背中や腰回りだ」

このことを何度も何度も行ったり来たりしてました。

しかし、これらのワードを一切使わずして

声の悩みがパァーッと消え去っていきました。

いや、正確に言うと、声の課題がすぐ解決したわけではなく、明確に筋道が見えたのです。

「これを続ければ、今までの悩みは解決する!」

初めて自分に起こっていることが、科学的に理解できたのです。

それが、声を出す仕組み。
すなわち、声帯と、それを操る筋肉群の働き。

声を出す仕組みを理解すると

呼吸をどうのこうのすることに意味はあまりなく、
筋肉を鍛えることが重要なんだ!
ということに気づきます。

そして、これを今のボイトレ後進国である日本に広めなくては!

・・・とまで大それたことは思いませんが(笑)、

少なくとも、私と関わった、声を使う人には、このことを伝えていかなくてはならないと思いました。

これが、私がこのブログをセコセコ書いている理由です。

自分が歩んで苦労したことを
自分と出会った人にしてほしくない。

本当に、ただこれだけ。

その証拠に、このブログには、外部へのリンクは一切貼っていません。
(そのうちトレーナーになったら貼るかも笑)


だがしかし。

この「事実」を伝えることは、そう簡単なことではなかったのです。

もしかしたら、あなたもそうかもしれません。

そう


「信じられない」のです。