「財政再建を問う-財政赤字よりも大切なこと」という143ページにわたる長い資料が2万viewを超えた記念に資料の解説ブログをしたいと思います。
概ね資料の目次に沿って解説していきます。
解説は不定期更新です。
アフロ@カレー職人@Afro_spirits「財政再建を問う-財政赤字よりも大切なこと」 - Togetterまとめ https://t.co/mSnOy3HL3l @togetter_jpさんから 財政再建についてガッツリ考えてみたい方は是非ご覧くださいm(__)m
2017年03月14日 02:34
今回は資料の8、9ページを解説していきます。
前回の記事「財政再建とは何だろうか? 」では財政再建、財政破綻について定義しました。基礎知識編その2としてフローとストックについて解説します。
財政再建について話をするとき、フローについて話したいのか、ストックについて話したいのか区別できない人がいます。
フロー:一定期間での状態の変化量
ストック:一時点での存在量
経済に結びつけましょう。
フローの数字はGDPです。
GDPは四半期、暦年、年度(会計年度)で指標が出されます。
四半期は4月から9月までとか。暦年は2016年1月から12月とか。年度は2016年4月から2017年3月までとか。
ストックの数字は国富です。
国富と言ってもGDPよりも馴染みが深いわけではないし、そもそもそんな指標があるのかと思う人もいると思いますが、実は「国民経済計算」にちゃっかり載っています。
国富をざっくり説明すると正味資産です。非金融資産と対外純資産の合計値ですね。
因みに、平成27年度末は3290兆円の国富があると計算されています。名目GDPが532兆円ですので、フローの6倍以上の資産を持っているということですな。
話がそれましたが表にまとめるとこんな感じです。
財政を考えるうえで、フローの目標は何であって、ストックの目標は何であるのかを考える必要がありそうです。
やみくもにPB黒字化とフローの目標を掲げても、最終的にストックをどうしたいのかを明らかにしないとゴールが見えません。
ブランシャールの定義によれば、債務対GDP比を安定的に推移させれば良いわけです。単年度のフローの数字に注目するのではなく、長い視点を持つ必要があります。
財務省は2020年度までにPB黒字化、2021年度以降に債務対GDP比の安定的引き下げというフローとストックの目標を掲げています。何をもって財政再建をしたと言えるのかは不明確です。
例えば、PB黒字化は何%以上必要なのか?
債務対GDP比が安定的な引き下げられた数値は何%か?
ゴールがいったいどこなのかわからないといつまでたっても財政再建を言い続けることになります。
因みに、EUに加盟するには財政収支対GDP比-3%、債務対GDP比60%の条件をクリアしなければなりません。
以上がフローとストックの話です。
まるで財政再建派みたいなブログかもしれませんが、ご安心を。
次回のブログまで基礎知識編なのでもうしばらくの辛抱です。
参考文献
財務省「日本の財政関係資料(平成27年9月)Ⅳ.財政健全化に向けた取組み」
http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/201509/201509_4.pdf
内閣府「国民経済計算」
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html