チャット客との思い出が灰色だとしたら、セクシーキャバクラ時代の思い出は赤や青、黄色、ゴールド。
チャット客のことは思い出したくもないが、消化のために時々毒づき、吐き出す。
しかしそれに埋もれないように、色鮮やかな季節を時折思い出す。
赤・・・当時仕事中に着けていた下着の色。
青・・・イケメンなお客さんのお洒落カーディガンの色。
黄色・・・当時よく履いていた勝負服のスカートが黄色の花柄だった。
ゴールド・・・店内の内装イメージ色。
中でも今の季節に印象深いのは、2歳年下の福祉系の仕事をしていたイケメン指名客H君のこと。
こんなイケメンが何故私を?というような今時の若者でした。
また内面も仕事に対する誠実さと野心両方を持ち合わせていて外見、内面ともに磨きをかけている男性でした。
聞いたかチャット客選ばれるのはこういう男性だ。
押せ押せの、または粘着質なヤ○モクとは違って、優しさと強引さのバランスがとれた人でした。
もうこうなると逆にやらない理由ないみたいな。
やりたいならそこまで自分が這い上がれよって感じ。
自分はダサい冴えない勘違いオッサンのままの外見、内面で女性があなたの低位置までわざわざ降りて接客してるのわかってますかと問いたい。
もう私はチャット客のことは見放してるから知りませんけど。
ただ現実世界で選ばれる男性は若くてお金も多少は持ってるイケメンだということ。
既婚で不倫願望下心丸出しオッサンではなく。
厳密に言えばそのイケメンのお客さんですら私の中ではお客さんの範疇を出ませんでしたが、身体の一線は越えました。
勘のいい同じ店で働いてるキャストに、
「指名のお客さんイケメンじゃない?ヤッた?」
と聞かれビビりました(笑)
もしかしたらそういう雰囲気出てたのかもしれません
春になると思い出すのは、彼と同伴デートした時に彼が着ていたロイヤルブルーのカーディガンです。
自分に自信がないと着れないような鮮やかで印象的なカラー。
彼の爽やかな笑顔とよく似合っていました。
同伴ではいつも手を繋いで歩いていました。
でも私はどんなお客さんともサービスで手を繋いでいたのでそれ自体は特別ではありませんでしたが、彼は多くの客が欲しがる嬢の肉体を手に入れていますからやはり勝ち組と言えるでしょう。
該当のカーディガンはグリーンレーベルのものだそうで、お洒落男子のセンスの良さに好感が持てたのを覚えています。
嫌なんですよ、わけわからんこだわりのロックテイストとか何の面白味もないいつも同じスーツ姿とか
綺麗めなシンプルお兄さんテイストがいいです。
風俗業界では客のことをお兄さんだなんて呼ぶこともあるみたいですが、そう呼ばれていい気になってる人達はお呼びじゃないから。
歳だけお兄さんではなく、お兄さんを表現出来てる男性が勝つのだ。
不倫願望やめくるめく性愛の果てなき探求など卑しいものではなく、H君は彼氏と彼女の関係を私に望んだ。
段階を踏んで、本当に彼の彼女だったら幸せだろうなと思った。
私はその選択はしなかったのだが。
今でも彼との思い出は私を癒してくれる。
彼は唯一店内で私を笑わせてくれた。
キツイ仕事をする中で、彼がいなければ夜の仕事は味気なくつまらなく、ただただきついだけだったかもしれない。
否、きっと誰もいなくても私は人生への復讐心から夜の仕事に燃えていて、誰にも止められなかった可能性もあるが。
それでも彼が指名を続けてくれたのは幸運だったと今思う。
でも今はもう彼のフルネームも忘れてしまってニックネームしか覚えていない
時が経つのは早い。
色彩の季節を感じつつ、今の私なりに今の自分と向き合っていきたい。