腕時計型チック改善装置を開発中のノッティンガム大の研究者とZOOMミーティングしました | てつおのチック、トゥレット、CBIT(シービット)キダメソッドのブログ

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チック、トゥレットのための日本CBIT(シービット)療法協会代表 キダメソッド

昨年6月のブログに、英国のノッティンガム大学の研究者たちが、腕時計型の装置で手首に微弱な電流を流すことでチックを改善することができる装置を開発しようとしているというニュースに関する下の記事を書きました

 

 

その後新しい情報は得られていなかったのですが、英国在住のCBITクライアントのお母さんから、ノッティンガム大学のその研究者にコンタクトするための情報をいただいたので、早速メールで連絡してみたところすぐに返事があり、私がトゥレットの当事者であり同時にCBITプロバイダーでもあることを伝えたところ、ZOOMミーティングをお願いしたいと要請がありました。

下の動画はそのZOOMミーティングの一部を切り取ったものです。

一応許可はもらってありますが、何か差し障りがあるといけないので、動画にアニメエフェクトをかけています。

 

 

ZOOMミーティングに先立って、メールでもある程度の情報は聞いておきました。

以下に、メールとZOOMミーティングで得られた情報を列挙しておきます。

 

•メールやZOOMミーティングのやりとりの相手はノッティンガム大学心理学大学院(School of Psychology)のバーバラ•モレラという女性で、医師ではなく、神経生理学を研究している生物学者である。彼女はResearch Associateという立場で、ノッティンガム大学で心理学を教えている。生物学者が心理学を教えているというのは不思議だが、神経生理学の境界領域なので、色々な研究者がいるということなのであろう。

 

•前回Current Biology という学術雑誌に掲載された論文は、バーバラともう一人の研究者の共同執筆である。16人のトゥレット患者に1、2分間の正中神経(手首を通っている神経)への電気刺激を与え、症状が重い患者ほどより大きなチックの改善を見ることができたという内容である。ただし、チックの改善度を評価するやり方が、1、2分間の電気刺激を与えている間のビデオを観察してチックを数える的な評価方法であり、サンプル数も少ないため、次回さらに大掛かりで厳密な実証実験が求められていた。

 

•近々、150人のトゥレット患者に協力してもらって、プラセボ効果グループも含めて3つのグループで大規模な臨床実験を行うことになっているらしい。前回の実験は電気刺激を与えている時間がわずかに1、2分であったので、今度はもっと長い時間電気刺激を与えた場合の効果や副作用などもみていく予定になっている。

 

•前回の実験で、正中神経への電気刺激でチックの改善効果があることは明確に確認されたのかという私の質問に対し、前回は規模が小さかったのと電気刺激の時間が短かったので、次回の規模を拡大したより厳密な実験により効果の確認を行いたいと答えていた。

 

•実用化はいつ頃になりそうなのかの質問に対しては、24ヶ月以内に英国内での実用化を実現できたらと考えてはいるが、医療機器であるので、様々な法規制や基準をクリアせねばならず、長いプロセスになることは間違いないと思っていると答えていた。

 

•すでにどこかの装置メーカー(アップルとか)と具体的な設計企画を始めていたりするのかの質問には、現在のところ全くそういう話は進んでおらず、あくまで自分たちで作るプロトタイプ装置での実験段階であるとのことである。

 

•バーバラやその同僚が私に聞きたかったのは、CBITプロバイダーとして、チックの改善度合いをどのように評価判定しているのかということであった。CBITで使っているSUDs(不快指数)や衝動の強さを数値化するやり方などを伝えたが、話を聞いていくと、実は彼女たちは生物学者というように実際のトゥレットに関する臨床経験はほぼゼロに近く、CBITも聞いたことがあるようなないような程度で、チックの国際的な判定基準であるYGTSS(エール国際チック重症度スケール)ですらあまり良く知っていないのではないかという印象を持った。医師やセラピストなどの臨床家たちとどの程度の連携を持って研究を進めているのかはまだ聞けておらず、引き続き質問していく中で分かってくるかと思われる。

 

•腕時計型装置から手首に伝わる電気信号は、痛くはないが感じることができる程度の強さではあるらしい。

 

•基本的に電気刺激が流れている間だけチックは減少しているらしい。人により刺激が切れてもしばらく効果が続いていたケースもあったようだが、そのあたりの詳しいことは次回の実験結果を待たねばならない。

 

•短期間なら電気刺激でチックが改善したとしても、ある程度長くやっていると慣れてしまって効果がなくなるということはないのかと質問したら、それも次回以降の実験結果を見てみないと分からないということであった。

 

 

バーバラたちがトゥレットの臨床現場の経験がほとんどなく、神経生理学の専門家である生物学者ということには若干驚きましたが、逆にそういう立場の研究者でないとなかなかこういう研究開発はできないのかもしれません。

前回の実験が16人に対して1、2分の電気刺激を与えて、ビデオで効果を測ったというレベルだったので、次回の大規模実験でどういう結果が出てくるのかは未知数ですが、今後の進捗に関する報告をもらえるメーリングリストに私の名前も載せてもらうことが出来たので、また何か情報が入ったら報告させてもらいます。

 

でわ。

 

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CBIT(シービット)っていったい何のこと?と思われている方に少し解説させてください

 

トゥレット障害の主たる症状である運動チックや音声チックは、精神神経科や神経内科などで処方してもらえるお薬で改善させることは非常に難しいです。

中には薬でチックが減ったとおっしゃる場合もないではありませんが、大抵はものすごく眠くなって起きていることができないくらいの副作用が出たりします。

結局は薬でチックを減らすというのは、精神と神経の活発な活動を鈍くして、限りなく眠っている状態に近づけてチックを減らすということに他ならないのです。

漢方薬や鍼灸、整体などでチックを改善すると謳うところもあるようですが、私自身はそれが効いたという話を聞いたことがありません。

一方で、CBIT(シービット)は、アメリカ、カナダではチックの改善のための第一選択肢とされており、顕著な改善効果が得られることが権威ある学術雑誌に掲載された論文でも述べられています(https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/185896)。

CBIT(シービット)は簡単に言うと、チックを拮抗反応というチックが出せなくなる筋肉の動きでブロックして、チックを出さそうとする衝動を抑え込み、その衝動を減らしていくことによりチックが出にくくなるようにしていくという行動療法です。

行動療法という呼び方でも分かる通り、CBIT(シービット)は心理療法ではありません。むしろ筋トレのようなトレーニングと思った方が当たっています。

CBIT(シービット)は、100%のトゥレット障害のチックに効果があるというわけではありませんが、私自身がセッションをしてきた経験から言うと、7割以上の方に大きな改善が見られています。

具体的な体験者の声はこちらのリンクからご覧いただけます(http://cbitjapan.com/cbit-voice/)。

もう少し詳しいCBITの説明を知りたい方は、こちらの無料通信メール講座に登録お願いします(https://48auto.biz/cbitjapan/touroku/entryform2.htm)。

CBIT(シービット)と一般社団法人日本CBIT療法協会についての情報は、公式ウェブサイト(http://cbitjapan.com/)をご覧ください。

ウェブサイトはごちゃごちゃしてわかりにくいから嫌だという方は、こちらのページがお薦めです(http://lp.cbitjapan.com/lp-sp/)。

 

 

もしお子さんが運動チックや音声チックで苦しんでいて、お母さんやご家族も精神的に疲れはててしまっているのなら、ぜひCBITを試してみられることをお勧めします。

お問い合わせは木田(kidatpyo@cbitjapan.com)までお気軽にどうぞ。

 

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