それは奇策か正攻法か。あるいは、多数派による横暴か独断専行に対する抵抗なのか。

 

 

仕事中「さあ、ほんじゃひとつ、住民投票投票日まで、もう一回頑張りますか」なんてことを考えていた26日、帰宅してパソコンを点けると、豊橋市議会が驚きの展開となっていました。

 

 

●青天の霹靂

 

 豊橋市議会12月定例会は26日、計画の是非で揺れている「多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備運営事業」について、二つの住民投票条例案を上程した。だが、推進派の議案は撤回。反対派の議員は賛成少数で否決された。住民投票は実施しないことが決まった。

 

 

 

実は私、先週の段階で・・・

 

ひょっとして、賛成派の住民投票条例案は「反対派にだけ良い格好させられない」もしくは「カタチだけ出しておいて、双方細部で譲らずまとまらずの廃案狙い」なんてことも、無いではない?

 

 

・・・なんてことも書いてたんですが。

 

う〜ん「当たらずといえども遠からず」? いや、やっぱり遠いかな。何にしても「そう来たかー」です。

 

肝心なのは、さらにその先でして。上のニュースの続報です。

 

 

●「言ってはいけない」!

 

 豊橋市議会12月定例会は最終日の26日深夜、緊急動議で提出された「豊橋市議会の議決すべき事件を定める条例」の一部改正案を賛成多数で可決して閉会した。市議会の議決を経て結んだ契約について、解除する時も議決を要するとする内容。自民など提案者によると「多目的屋内施設(新アリーナ)と豊橋公園東側エリア整備運営事業」の契約も対象となる。

 

 新アリーナ計画の契約解除へ向けた事業者との協議は、12月定例会の一般質問に対する市の答弁で始まっていないと分かった。本会議の質疑で本多洋之氏(自民)は「解約手続きが始まっていなければ対象になる」との認識を示した。

 

 

 

これこそ「そう来たかー」ですわ。

 

先週、住民投票を言い出した時から準備していた「隠し玉」なのか、この1週間で捻り出した「魔球」なのか、そこはもう(現段階では)ホント分からないのだけれども。

 

 

ともあれ、原典は、こちら。

 

 

 

 

これに「地方自治法その他の法令に基づき議会の議決を経て締結した契約に係る契約の解除に関すること」を加える、ということですね。

 

 

 

 

何故にこれが「緊急」で提出されたのか、言うまでもありませんが言っちゃダメなんです。

 

建前としては、こちら。

 

 

 

 

この条例改正を受け「放置しておくと議会の議決権が狭められる」からという、正直なところ、相当に強引な理由付け。

 

でも、良いんです。強引な市長に対抗するには、議会も強引にならざるを得ない時があるのです。

 

 

●契約とその解除、それぞれの重さ

 

そして「激論」が交わされたのが、こちらの法律条文に関する解釈。

 

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)

第九十六条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。

 

「次に掲げる事件」は「一」から「十五」まであって、関連するのは以下の2つ。

 

二 予算を定めること。

五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。

 

 

で、揉めたのは「次に掲げる事件を議決しなければならない」とあるのを、だから「そこに掲げられていない事件は議決しなくて良い」あるいは「掲げられていない事件については議決しなければならないとしてはいけない」と読むのか、逆に「掲げられていない事件であっても議決しなければならないとして良い」と解釈するのか、ということ。

 

改正に反対する議員たちは、当然前者の見解に立つし、市の担当者も、それっぽい答弁をしてはいたのだけれども。

 

 

この96条には第2項があって。

 

② 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。

 

となっているのですね。

 

さて「地方自治法の趣旨」として、どう捉えるべきなんでしょうか。

 

 

 

「専門家」的にはどうなのか分からないけれども、とりあえず庶民感覚としてなら「契約に議決を要したのだから、解除だって、そりゃ議決が要るでしょう」となるわけですが・・・

 

 

●間接民主主義

 

いずれにせよ、住民投票は、当座、無くなりました。

 

私自身は、何が何でも住民投票とは言わない、けれど絶対反対でもない、やるならやっても良い、くらいのスタンスなのですが・・・

 

まあ、話をややこしくしているのは市長と議会なので、その後始末だけ市民に委ねるみたいな遣り口は、正直、感心しないなとは思います。

 

 

さて、今後、どうなって行くのか。

 

何かもう、豊橋のこの状況、昔で言う「政治・経済」「倫理・社会」の教科書に載りそうな展開になってきました。色んな意味で。

 

一歩引いてしまえば、これほど興味を引く話もないな、くらいな感じさえします。

 

しますが、何しろ我らが三遠ネオフェニックスのBプレミアライセンスと、我が豊橋市のBプレミア・ホームタウンというシティ・ブランドが懸かってますから、そうも言ってられません。

 

他所様に関心持っていただけてるとしたら有り難いのですが、ならば、とことん本気で関心持ってください。

 

例えば、ヤフーコメントに窺えるような、一知半解のまま中途半端に口出しする人がやたら多いのは、あまり気分が良いことではありません。

 

既に何度も書いておりますが「新アリーナ建設の是非を争点とする選挙」で「計画の中止を公約に掲げた長坂氏が当選した」というのは、嘘ではないにしても、もともとアリーナに反対してきた人達と大手メディア(東京の人か、せいぜい名古屋の人)によるイメージ先行のミスリード。

 

そこを出発点とする限り、今の豊橋の状況を理解するのは難しいし、おそらく、人に(例えば子供に)説明することはできないでしょう。

 

 

 

●「無理が通れば道理が引っ込む」

 

豊橋市長と豊橋市議会と。

 

先に「無理」を仕掛けたのはどちらか、「道理」を示しているのはどちらなのか、それを、よくよく考えることの方が今後の糧になると思います。