ベルリンコーミッシュオペラのインテンダントであるバリー・コスキーの演出をこよなく愛するものである。
2022年7月までという彼の任期中にやはりみておきたいと思ってベルリンに行くことにした次第。
4月22日
Jacques Offenbach
Opéra bouffe in drei Akten [1864]
Text von Henri Meilhac und Ludovic Halèvy
Deutsch von Simon Werle
Musikalische Leitung
Michele Spotti
Inszenierung
Barrie Kosky
Choreographie
Otto Pichler
Bühnenbild
Rufus Didwiszus
Kostüme
Buki Shiff
Dramaturgie
Johanna Wall
Chöre
David Cavelius
Licht
Diego Leetz
Besetzung
Helena Nicole Chevalier
Paris Tansel Akzeybek
Menelaus Christoph Späth
Orest Maria Fiselier
Kalchas Stefan Sevenich
Agamemnon Dominik Köninger
Ajax I Tom Erik Lie
Ajax II Philipp Meierhöfer
Achilles Uwe Schönbeck
Bacchis Christoph Jonas
Täubchen (伝書鳩) Karlheinz Oettel
Tanzensemble Michael Fernandez, Zoltan Fekete, Paul Gerristein, Daniel Oheda, Lorenzo Soragni, Silvano Marraffa
美しきエレーヌはオッフェンバックによる壮大なパロディ作品だとのこと。
たしかに無茶苦茶な設定でそれだけで笑う。
あらすじ
トロイア王子のパリスは世界で一番美しい(人間の)女を手に入れられるという約束をとりつけ、
絶世の美女と歌われるスパルタのエレーヌに会いに来る。
エレーヌはスパルタのメネラウス王の妃だが、そんなことは構わない。
神官カルカスに「神託」を告げられたエレーヌもまんざらではない。
羊飼いに化けたパリスがやってきてスパルタの「大クイズ大会」にでて優勝
カルカスがニセの神託でメネラウスを離島に追いやっているあいだにエレーヌとパリスは愛情を深める。
ただしエレーヌは浮気はできないと思っているため、夢の中でならパリスと浮気しようと明かす
カルカスは夢の中にいるとエレーヌに思い込ませ、
そこへパリスが忍び込んでうまく逢瀬をとげる。
そこへ離島へいっていたはずのメネラウスが突然帰ってきて激怒
ところが周囲は「急に帰ってくるお前が悪い。女房にこれから帰るときちんと予告してから帰らないと女房だってきちんと出迎えることができないではないか」とメネラウスの方を攻める。メネラウスは「それもそうだ、ごめんね」という。
そして大神官に化けたパリスがエレーヌにとある島へ行って祈れと命ずる。
エレーヌは嫌がるが実は大神官の正体がパリスだと知って喜んで船にのって旅立っていく。
コスキーの演出はさらに楽しい。
まず舞台はパッサレールがあり、役者たちは縦横無尽に走り踊り回る。
大きな顔のかぶりものはオッフェンバックの若いときの写真かららしい
エレーヌ役のニコール・シュバリエは歌も踊りも演技も素晴らしい。
(彼女はモーリス・シュバリエの孫であるとのこと!なるほど、DNAだ)
パリスはカウボーイ姿でリンゴを齧りながら現れ、アズナブールのFormidableを歌う。
(パリス役アクゼイベックも座付きなのでこういうことは慣れている。)
あっさりクイズで優勝するカウボーイのパリスにたじたじとするアジャックスら
神官カルカスの御神託は大型蓄音機から流れてくるワグナーの音楽。
(カルカス役のSevenichはサンタクロース体型だが身軽に踊りローラースケートまで履いて滑る。歌も上手い!)
メネラウスは車椅子に乗っているが妻の浮気を目撃してショックで、立って歩けるようになってしまう。
御神託のワグナーのレコードを「つまらん」とばかりにバンバン投げて捨てるエレーヌ。
そして、Non, je ne regrette rienを歌うけどこれがまた効いている。
他にもシャンソンがでてくる。Me me quitte pas
これはもちろんラストに旦那のメネラウスが歌うのだ。
ドイツ語でのアドリブも多く、地元の人たちは笑い転げていた。
オペラはもっと身近なもののはずなのだ。
とにかく大いに楽しかった。
行ってよかった!