ヘントのアルバ公爵 | Mevrouwのブログ。。。ときどき晴れ

ヘント(GentまたはGhent)には初めて行った。

こぶりながらもフランドルの美しい古都だ。

 

観光はなし。フランデレン(フラームス)オペラ制作のアルバ公爵を観た。

2012年が初演なのでこれは再演。

ドニゼッティの未完の作品で、

弟子のサルヴィが補筆完成したものがイタリア語で上演されたりするが、

今回はドニゼッティ作の部分以外はすべて現代の作曲家の

ジョルジオ・バティステッリが書いて完成させたという異色作。

フランス語上演。

 

トレイラー映像
 

Dirigent      Andriy Yurkevych

Regie        Carlos Wagner

Decor        Alfons Flores

Kostuums     A.F. Vandevorst

Belichting     Fabrice Kebour

Koorleiding    Jan Schweiger

 

Cast         

 

Hélène d'Egmont   Ania Jeruc    

Henri de Bruges    Enea Scala    

Le Duc d'Albe     Kartal Karagedik

Sandoval         David Shipley

Daniel           Markus Suihkonen

Carlos           Denzil Delaere

Balbuena         Denzil Delaere

 

Orkest           Symfonisch Orkest Opera Vlaanderen

Koor             Koor Opera Vlaanderen

 

これはじつに面白いプロダクションだった!

アルバ侯爵は頭も含め、全身タトゥーを入れているが最初は白いスーツで登場。

 

ストーリーは、16世紀後半からのオランダ独立戦争中のフランドル地方でのできごと。

スペイン王フェリペ二世が反乱分子の多いベルギーオランダ北部を制圧するために

アルバ侯爵を派遣したが、この侯爵は血も涙もない恐ろしい「お代官」で、

スペインに歯向かう者は徹底的に痛めつけていた。

(ヴェルディのドン・カルロはこの惨状を憂えてフェリペにフランドルは自分に任せて自治を認めてくれと訴えたというスジになっているが、このオペラのなかではドン・カルロも侯爵と同じ穴のムジナである)

アルバ公爵に死刑にされた地元の貴族エグモントの娘エレーヌは侯爵への復讐心に燃えている。

それを支えるダニエルらレジスタンスの同士たちのなかに青年アンリもいる。

アンリは私生児で母をなくしているが純粋な若者でエレーヌを愛している。

アンリは反乱分子として捕まり侯爵の元へひきずられ、死刑を覚悟するが、

侯爵はアンリが「ブルージュのアンリ」と名乗っているのをきいて態度が激変しアンリの命を救う。

侯爵はアンリの母が死ぬ前に送った「ブルージュのアンリはあんたの子」という手紙をもらっていたのだ。

アンリはそれを知らずにいたがついに侯爵がアンリに告白、私がお前の父親だ、栄光はお前のもの、

共に帝国に行こうと誘う(これはダースベイダーだな)が、アンリは拒否。ところがエレーヌが死刑になるときき、従えば命を助けると侯爵に言われ、苦渋の末、アンリは父に従うこととなる。

エレーヌへの愛、同志への友情、実の父、自身の信奉、のなかで揺れ動くアンリだが、

エレーヌがアルバ公爵の暗殺を試みたときに身代わりとなって刺され、エレーヌも仇の子を討ち、血の繋がった父も助けることができたとアンリは半ば安堵して死ぬ。

侯爵は嘆き悲しみスペインに戻る。

 

エレーヌが招かれざる客のスペイン人たちに請われて歌う。

ストリート・オブ・ファイヤーか??ってな感じ。

 

さすがベルギー。イタリア語版ではワイン醸造なのだが、ここではビールを作っているのだ~

 

さて、舞台と音楽の方。

現代作家のバティステッリが付け足した部分というのが、モロ現代ものなのだが、

それが不思議な調和というか面白いギャップというか、

なかなかにいい仕上がりだったのでまずはびっくり。

こんな感想で申し訳ないが、実に楽しかった!

 

歌手はノーチェックだったが、エレーヌを歌ったポーランド人ソプラノ、歌唱もよく見目麗しくてよかった。

アンリのイタリア人テノール、素晴らしくうまい。仏語だけどアリアも美しかった。

アルバ侯爵のトルコ人バリトンも表現力あり、なかなかに聴き応えあり。

 

デコールはモダンでシンプルで立体的。

侯爵の衣装がマフィアかなにかみたいだが、他の人は非常に舞台にマッチ。

演出は結構面白いと感じた。

父と子が共に胸に母子像の入れ墨をしているのが親子の証拠!とかいうシーンはご愛嬌なのだが、

アンリが身代わりになってしまうラストは自然ななりゆきに見えるようアレンジしてあってよかった。

 

こんな小さなオペラ座がオリジナル作品を上演するとは本当に立派なことだ。

狭い劇場のマチネとはいえ、お客は満員。それにみなさんおしゃれ。

文化度高い!

広々としたホワイエは窓からの採光もあり明るく豊かな雰囲気

天井も立派だ。18世紀半ばの建築。こぶりながら豪華で美しい。

 

ところで、プチデモン氏が招待されてこのオペラを観にきたそうです。

このオペラのスジは悲劇だが、実際長い年月をかけて戦った結果

オランダはスペインから独立したので、夢はいつかかなうというメッセージか、

それともフランドル地方もどうやらベルギーのなかでは独立志向あるとのことなので

ナカーマ、ということでしょうか、、、、

http://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20171129_03214945