うこれから組合に就職、入組(にゅうそ)をしようとしている方に、覚悟していただきたいことを記しておきます。
なお、組合は様々な形態がありますが、私が入組していた組合は農協と漁協です。森林組合のことも少々知ってはいます。
<組合の現状について>
団体職員と聞いてあなたは何を思い浮かべるでしょうか?
安定した生活?
公務員のような立場?
苦労はしない?
SNSなどを見ているといい話がたくさんあります。
でも、それはただの偏見です。組合で働くことで現状の安定は約束されたようなものですが、決して将来の安定は約束されていないのです。
現状の安定、それは組合員が自分の生活を支えるために組合を利用することで組合職員の生活が成り立つようになっていることです。
しかし現状は、少子高齢化、農業が組織化され、釣り道楽人口は減り、山の持ち主はいなくなり、漁民も減少しており、組合を利用する組合員自体が減少しているのが実情です。
さて、この現状で高給取りの人はいるでしょうか?答えはもちろん、いません。
あなたが組合職員になっても、高給取りには絶対になれません。あなたは将来に期待が持てないまま働くことを覚悟しなくてはなりません。
それでも組合で働くことを願う人は下へどうぞ。
<入組した直後について>
組合に入組した職員は団体職員というものになりますが、会社員や公務員とはちょっと違う肩書きで世の中を渡っていくことになります。
団体職員の中身としては、税金を保守する公務員、利益を上げる会社員の中間の位置付けになります。
組合は組合員から賦課金という税金みたいなものを徴収して、なおかつ別の利益を積み上げていくことになります。
別な利益というのは、農協なら物販と共済の中間マージン。漁協なら釣り券販売と飼育魚販売。大きい漁協であれば農協のようなこともしています。
共済、物販ノルマが割り当てられている組合では、職員個人の買い物全て組合を通すことでノルマが少し達成できるようになっています。共済(=保険)、車両、家電、家などあらゆるものを組合で購入し、中間マージンを組合に提供しなくてはなりません。場合によっては親戚親兄弟友人など人脈の全てを捧げる覚悟が必要です。
<役員の選出について>
同種の各組合は管轄地区で別れています。
管轄内に居住し、その組合に沿った仕事をしていれば正組合員になれます。
どれかを外れると準組合員にしかなれません。
准組合員は総会へ出席することはできませんし、権限に制限が付きます。
正組合員は組合運営に携わることがでます。
①推薦によって正組合員の代表の「総代」になることができる。
②総代は「役員」候補を推薦し、選挙によって選出することができる。
③役員は役員会で「理事」「幹事」を決め、各々の役割(組合長や代表幹事)を決める。
④理事は「正組合員(総会の場合)」および「総代(総代会の場合)」に承認された予算と方針で組合を運営できる。
これが組合運営の方法だが、ここで恐ろしいのが「推薦」です。
①総代は推薦で決められるが、大体は「仲間内」である。
②役員も推薦で決められるが、大体は仲間内かつ滅多にいない「役員職をやりたい人」かつ「自営業」か「無職」の人である。
また、地区によっては持ち回りということもある。
つまり、
「仲間内で理事をやりたい自由が効く人」=「名声が欲しい人」「居場所がほしい人」
または「持ち回りで順番がきた人」=「無責任な人」「逃げる人」が理事になる。
総じて「ワケがわかってない人」が理事になることがどの組合でも抱えている問題です。
役員選出に問題がある状況なので、「責任感や情熱を持った人」が役員になることは稀です。なれたとしてもそんな人に囲まれていては熱意も削がれることになります。
(1年間は熱意が続き、あとは空気の様な存在になっていきます。)
<役員と職員の関係について>
役員周りの仕事をするのは「組合職員」です。大きい組合なら総務部が主に世話役となります。
会議のお世話、資料作成や組合運営を「ワケがわかってない役員」に対して行っていきます。これに慣れてくると老人介護が仕事であることに気付くでしょう。
また、この役員達の中には自分は素晴らしい選ばれた人間であると思い込んでる人が必ずいます。そして始まるのが、短慮な思い付きの押し付けとパワハラです。
短慮な思い付きとはいっても、その理事が過去経験してきた当たり前のこと、経験に裏打ちされたやり方を職員に実践しろと言ってるだけなのですが、凝り固まった頭の老人の言動は、職員から見れば仕事内容も把握せずに口を出す短慮な思い付きの押し付けをする人にしか見えません。
本来は会議で決めることであっても、職員に罵声と共に直接指示してくることもよくあります。場合によっては1時間くらい演説をしだすこともあります。
そもそも、思い付きで財務表やら毎年の記録や行事を変えられたら、過去積み重ねてきたことの比較ができなくなるなど、職員の努力が水の泡になることは多いため、少しでも頭の柔らかいワケが分かってる理事に頼み込んで、会議で変革すべきところと保守すべきところを選別してもらう必要があります。
理事と懇意にすることは楽しかったりしますが、一歩間違えれば自分の愚痴を言っているだけになるので責任をもって戦略的に会話をしなければなりません。
しかしここで注意なのが、頭の柔らかそうな人は職員に協力的な振りをして肝心なところで裏切り逃げる「卑怯者」の場合が多々あるということです。人間を見る目が重要になってきます。
<まとめ>
職員は組合運営をしてはいけません。
組合を運営するのは理事であって、組合員です。職員ではありません。
若く熱い職員が会社を動かすことはできません。
あなたは組合の歯車にしかなれない上に、高齢者で任期3年の「ワケが分かっていない理事」の歯車にしかなれません。
それに歯車になった職員を見てこう思うのです。「ここの職員はやる気がない」と。そして罵声と演説が始まります。それを防ぐため、味方になってくれる役員と懇意にならなくてはいけません。
あなたはこうした組合独特の社会を渡っていく覚悟はありますか?