救命方法を通し学ぶ「命」 心肺蘇生教育導入求めNPOが活動
独自の教材を使って胸骨圧迫の方法を学ぶ高校生ら=大阪市
日本で毎年約5万人が心臓突然死で亡くなっている。
救命措置のための医療機器「AED(自動体外式除細動器)」の設置は進んでいるが、大切なのはいざというときその場に居合わせた人が勇気を持って行動できるかだ。
NPO法人(大阪市)は「子供のうちから救命方法の学習を通して命の大切さを学んでほしい」と独自の教材を開発、学校に心肺蘇生(そせい)教育を導入するプロジェクトに取り組んでいる。
◆想像より難しくない
大阪市内で9月下旬に開かれた「救急防災フェスタ」。救急蘇生法を体験する講習会には高校生や市民ら約300人が参加した。
使用する教材は、NPOが独自に開発した心肺蘇生トレーニング・ボックス。人体に見立てた箱の心臓部分にあたる部分を強く押すと音が鳴る仕組みだ。心肺蘇生法の基本である胸骨圧迫(心臓マッサージ)のコツと、心臓に電気ショックを与えるAEDの電極を張る位置や操作方法を簡単に学ぶことができる。
「ひじを曲げずに体全体で押すように」「強く、絶え間なく、1分間に100回押す感覚で」。講師の指導に従いながら胸骨圧迫を体験した大阪府内の高校2年の女子生徒(16)は「力はいるけれど、想像していたより難しくなかった。これなら自分にもできるかなと思った」と話す。
心臓突然死の多くは心室細動と呼ばれる不整脈によって引き起こされる。AEDの使用が1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下するとされ、一刻も早く心肺蘇生を始めることが重要だが、「自分が手を出すことで取り返しのつかない事態になるのでは」と、抵抗感やためらいを覚える人は少なくない。
◆3つの「PUSH」
だが、「一番ダメなのは何もしないこと」と同法人の石見拓副理事長。人工呼吸を行わなくても簡単にできる救命法があることを知ってほしいと、同法人が昨年から取り組んでいるのが「PUSH(プッシュ)プロジェクト」だ。
あなたの目の前で突然倒れ、意識も呼吸もない人がいたら-。プロジェクトは3つの「PUSH」を掲げる。まず、AEDを持ってきてもらうとともに119番し、ただちに胸を強く押す。AEDが到着したら音声指示に従い、安全を確認してボタンを押す。そして、何より大切なのは自分自身の気持ちをPUSHすること。
プロジェクトは教育現場での普及に力を入れている。学校に講師を派遣して講習会を開くだけでなく、教師自身が生徒に指導できるように救命法を解説したDVDも制作した。
「学校で学ぶことで心肺蘇生をできる人の輪が広がる。
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■学校でのAED設置進む
文部科学省によると、全国でAEDを設置している学校の割合は平成19年度末で、小学校が47・6%、中学校69・0%、高校94・8%に上る。
今後も整備は進むとみられるが、協会は「AEDの使用方法を含めた救命法が学校現場で浸透しているとは言い難い」と指摘する。
AEDとは、Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器の略で、一般市民が簡単に安心、安全に電気ショックを行うことができるようにつくられた医療機器です。
AED寄贈サイト
http://aedkizo.com