【K-pop】インドネシアで大人気の理由 | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

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このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは!

 

K-popのアジア圏での人気は

すごいのですが、中でも

「インドネシア」での人気がすごい

と言われています。

 

本日は、


 

 

【K-pop】インドネシアで大人気の理由

引用は、

 

Yoon, Sunny (2019). K-pop fandom in veil: Religious reception and adaptation to popular culture. Journal of Indonesian Islam 13 (1).

 

この論文から。

 

インドネシアでk-popが人気なのは

文化的、宗教的に矛盾しているのではないか、

と考えた著者がインドネシアに行き、女子高校生に

8ヶ月間のインタビューしたのを元に書かれています。

 

2019年に発表された論文なので、Got7、EXO、BTSの

グループ名が出てきます。

そんなに昔ではないのに、なんか

懐かしいですねニヤニヤ

5年経つと、上にあげた3つのグループの

状況もかなり以前と変わってきていますね。

ですが、確かに人気のあるグループで

あることには間違いない。

インドネシアでも爆発的に人気でした。

 

この著者の目の付け所が非常に面白いです。

このテーマがとても興味深い。

イスラム国でのK-popの爆発的人気。

なぜ?

 

インドネシアは世界でも最大規模のイスラム国家です。

ただし、中東の国と違う点は国家としてはイスラム国家

ですが、国民に対しては宗教の自由は許されています。

しかし、無神論は許されていません。

つまり、イスラムでなくてもいいが、

必ずどこかの宗教に

属さなければならないのです。

IDにも記載されている事項となります。

一見、日本人にとっては

厳しいようにも感じます。

このような厳しいところで熱狂的な

ファンがK-popのコンサートに行くわけですね。

 

勉強よりもまずはお祈りや宗教活動を

しなさいと家でも言われる。

高校生たちのインタビュー記録を読むと、

「毎日お祈りは辛い。時々怠けてしまう。

自分の信仰心ではダメだと思う。」

のようなことも書かれています。

私たちが親に「勉強しなさい」と

口うるさく言われるように

「お祈りしなさい」と、

言われるようです。

「勉強しなさい」と言われてみたい。

そんな韓国人が羨ましい・・・とも。

 

このような中で、肌の露出の多い

K-popアイドルたちの衣装。

インドネシアでは、

肌の露出は禁じられています。

恥ずかしいことだという認識です。

なのに、なぜK-popがこんなに流行るのか。

 

まず、二つのことが表面的な

部分として挙げられます。

  • K-popはインドネシアの文化と全く違う。
  • K-popは宗教ではなく、エンタメである。

自分たちのものではなく、

宗教としての信仰心にも

引っかかる要素はない。

これだけだと、「ん??で?滝汗

と、なりそうですが、深掘り

していくと、面白い発見が。

 

インドネシアの男と違って、

韓国の男性はハンサムだ。

 

滝汗おぉ・・・

 

肌の色。

鼻の大きさ。

化粧。

ファッションセンス。

全てがインドネシア男性の

真逆なのだそうです。

ここがポイント。

真逆。

共通項がない。

だから惹かれる。

 

また、インドネシアでは

勉強よりも他のことで力を

示す傾向にある。

宗教もそうです。

そして、暴力が多い。

K-popアイドルは全体的に

体型も華奢で喧嘩や暴力を振るう

イメージがない。

衣装の関係で

露出は多少あるが、欧米人ほど

下品ではない(苦笑)

韓国人のイメージも勤勉で

勉強に忙しいイメージがある。

韓国の街も綺麗で歩きやすい。

全てがインドネシアと違う。

そういう世界に行ってみたい。

 

滝汗ちょっと大袈裟なんじゃ・・・

そんなに持ち上げて危険なのでは?

と、いう印象ですが、それは

著者もフォローされていますよ。

メディアの刷り込みがすごいね、と。)

 

何が言いたいのかというと、つまり

無いものねだりです。

もう少し、詳しく言うと、

宗教や社会の抑圧への抵抗

からくる理想像・偶像への

憧れ。

 

インドネシアに未来はない・・・

という若者の絶望感が

K-popの世界の理想像、

ファンタジーの世界に

かっちり、ピッタリハマった

ということらしいです。

これは、K-pop業界、

インドネシアは手放せません。

 

今回はインドネシアの例ですが、

抑圧された社会(状況)にいればいるほど

このようなおとぎの国の

ファンタジーの世界に入って

行きやすいのかもしれません。

 

この論文では、宗教への信心深さはあまり

関係ないのではないか・・・

のようなことが書かれてあるの

ですが・・・実際は「信心深さ」

という点では全く関係ないとは

言えないと思います。

逆にアイドルへの信仰心がないとここまでの

エネルギーとお金を使えないでしょう。

偶像を「崇める」という行為は

信仰心と言えると思います。

BTSのファンダムは社会学での宗教

の定義に当てはまる行動を

していると以前も書いたことが

あります。

ただ、インドネシアにおいて

K-popアイドルを追いかけることは

イスラムの教え・信仰とは

交わらないのは確かです。そこに抵触しない。

だから大丈夫だという安心感も生まれる。

 

インドネシアは韓国の文化とも

宗教も全く違い、違うから

魅力がある、ということは

わかります。

日本の場合、韓国は近い国で

正反対までの違いはない。

となると、

K-popの放つ「ファンタジー」性

が大きいのかな、と思います。

元々アイドル大国であるし、

完璧なK-popアイドルがもたらす非日常。

今いる世界と「違う」世界を見せて

くれる。

それだと

アニメの魅力とも繋がりますね。

メディアの影響は一つ大きいでしょうね。

こんなにも消費するエネルギーが

どこからきているのか。

 

この間、日本人の高校生と

お話しする機会があったのですが、

その子はかなり冷めていました。

K-Pop好きに話を聞いてみないと

なんとも言えないかも・・・・。

日本でK-popオタクにインタビュー

するしかないか・・・。

 

それではまた。