【X-POP】K-Popとの差別化 | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

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このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは!

本日のテーマは、

【X-POP】K-Popとの差別化

ということで、お話ししていきたいと

思います。

 

X-Popという新しいジャンル名が生まれるほど

注目されているXG。先日、ビルボードの記事を

紹介しました。

 

 

 

X-PopがK-Popを越えるには、

K-Popと同じメソッドでは勝ち目はない。

これは当然のことです。

XGのエグゼクティブプロデューサーサイモン

さんが率いるチームが「今までにない」やり方で

XGをプロデュースしてきた方法とは。

 

これまでK-Popはほとんどのグループが

アジアから活動をスタートさせていました。

まず自国(韓国語)でデビュー。

そして、次のステップが日本をはじめとする

アジアでの活動。

それが軌道に乗ったところで、欧米進出。

 

ところが、XGは全員日本人なので韓国(「自国」)を

意識する必要がない。日本にいないのだから

日本もあまり関係がない。最初から、

K-Popのビジネステンプレートを拝借します、と

堂々と宣言。

そこに敬意をしっかり払っていればいい、という

考え。

最初からグローバルで売ります、と宣言をし、

「英語のみ」で曲をリリース。

これが、まずはK-Popとの差別化です。

 

そこで問題になってくるのが次のような議論です。

It’s a manifestation of an ongoing K-pop debate: Is the genre defined by its language or by its sensibilities and cultural resonance? What constitutes K-pop — singing in Korean or embodying the elements pioneered by the Korean music business while respecting the genre’s cultural origins? Does language choice matter, or is it simply a tool to expand and reach more fans as a greater cultural movement evolves?

K-Popの定義はどうなるのか?

K-Popというジャンルは「言語」によって決まるのか、それとも文化的な要素によって決まるのか?

K-Popの構成要素とは何なのか?韓国語で歌うことなのか、それともKビジネス発祥の地に敬意を払いながら、その要素を使用していくことなのか?言語は重要なのか?それとも単にファン層を広げていくための手段に過ぎないのか?

 

こういう議論が起こってくるわけです。

これに関してはもうすでに議論されていることであり、

それほど驚きはありません。

チョコのないキノコの山になりつつあるのが

K-Popです。キノコの山というブランド力の強さで

もやはキノコチョコがなくても、きのこの山を

名乗れるという。

今までの記憶と経験からKがなくても

K-Pop。しかし、K-Popというからには、もともと

Kの要素があったという過去が必要です。

 

XGがどこで活動しようが、日本出身の

日本人であるという事実から、

「日本の曲」という認識があるのは事実でしょう。

現役K-Popアーティストの方本人がそのような認識が

当然のようにある、というお話も以前しました。

つまり、今のところ、XGのカルチャールーツ(日本)で

あるということがジャンルにも影響してくることは

間違い無いです。

 

XGプロデューサーのサイモンさんはこれをどう

捉えていらっしゃるのかというと、

 

Simon says that XG’s team is intentionally fusing multiple influences — while still honoring their origins.

 

XGは意図的に複数の要素をミックスさせてはいるが、

「オリジナル」の物には敬意を払っている。

 

とのこと。

つまりは、XGの英語の歌詞はアジア人ではなく、

アメリカ人ネイティブの発想で書かれた歌詞であり、

アメリカ人が表現するであろうものを取り入れている、と。

 

なるほど、これは納得です。

XGのTGIFの歌詞は、アメリカ人的な発想で、

英語そのものの構造ではなく、アメリカ文化の

中にいる人にしか理解できないような言い回しが

ありました。

 

そして、「新しいもの」を意識して取り入れる、

ということもX-Popの特徴だそうです。

これまでの固定概念を覆すということ。

XG photographed August 9, 2023 in Los Angeles.

 

だから、日本人である(自分の出身地がどこであれ

自分の故郷)ということに敬意を払い、

グローバルファンに新しいものを提供していく。

これがX-Popなのでしょう。

それには、自分たちがやっていることに興味や

好奇心を失わない心でいること。

 

X-Popとは「心の状態」をも表現するジャンルなのか。

これは面白いなと思いました。

また、文化の融合の中で完全なミックスはないと感じました。

X-Popの特徴は「オリジナル」に敬意を払う。

「敬意」であり、「優劣」をつけるではない。

なので、自分たちの生まれた場所にも同じくらい

敬意を払う。

これが新しいX-Popの形であるということです。

 

それではまた。