R&Bで勝負するのは危険 | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

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このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは!

本日は、

 

 

R&Bで勝負するのは危険

ちょっと危ういな、と。

感じる今日この頃です。

 

R&Bというのはアフリカン・アメリカンの

コミュニティーから生まれたもの。

今でもその伝統は割と守られていると思います。

アフリカン・アメリカンの歴史の中で

経験した苦しみ、痛み、喜び、などを

表現する音楽です。

白人やアジア人も歌いますが、

やっぱりアフリカン・アメリカンの

結束の硬さは本当に強い。教会のゴスペル

を見てもそう感じます。その結束の強さが

アジア人とは少し違うんです。

私の周りを見ていてもそれは感じます。

歴史と関係があるようです。

実際、hip-hopの学会に出席してみると

わかることがいろいろありました。

R&B界隈では大御所は今でもやっぱり黒人シンガーです。

 

オバマ元大統領夫妻の前で堂々と

歌うアレサ・フランクリン↓

女王君臨です。

 

いや。。。R&Bは幅の広い音楽ジャンルなので・・・

誰が何を歌ってもいいのだと

思うのですが・・・。

アジア人が売れるためだけに

ゴリゴリのR&Bに手を出すと

ちょっと手強いのかな、と。

思ったりするわけです。

歌い方もそうですが、コミュニティーの

結束の硬さとか、歴史やバックグラウンド

など、hip-hopにも通じるところが

あるのですが、そこに入っていくのは、

けっこう大変です。

 

数年前にNY,ハーレムや

ブロンクス出身のhip-hopダンサーと

話をする機会があり、

hip-hopダンスは振り付けではない

(振り付けありきではない)、

という話を彼らは言い続けていました。

あくまでも、基本ステップがあり、

でたらめなダンスではない。

何をやってもいいわけではない。

基本ステップをマスターしてから

フリースタイルなんだ、と。

『振り付けのためのステップではない。』

特に、振り付けに関しては

厳しい意見を言っていました。

何を言っても

下手上手いの問題じゃない、と

言い返してきます。

最初、なんでそんなにこだわるの?

いったい何を言っているんだろう?と

思っていましたが、要は、

彼らは自分たちの「文化」へのこだわりが

強いのだということだとわかりました。

Culture is not representing us,

WE (as people/hip-hoppers) are representing our culture.

『文化が私たちを表しているのではない、

私たちがこの文化を表しているんだ。』

 

ふと、思い出しました。

 

アメリカの音楽市場で勝負

するとなって、例えば

日本生まれの日本育ちの人が、

R&Bを聴いて育ったから

R&B一本で勝負します、となった時に

いくら上手でも、アメリカの

黒人コミュニティーに

受け入れられるかというと

一部には受け入れられるかも

しれませんが、なかなか難しいと思います。

日本で歌謡曲を歌って成功する

外国人は少数です。

戦う土俵を間違えると厳しいです。

 

日本人であるなら、日本独特の

アイデンティティーを出した方が

R&Bに対抗できるかもしれません。

R&Bをマスターしようとして、

真っ向から勝負をしようとすると

おそらく勝てないかな、と。

歴史を背負っているから。

ニューヨークに住んでいた頃、

ジャズバーにいくと、日本人の

プレーヤーを時々見かけました。

ダンスやバレエもそうですね。

アートの分野で日本人を見かける

ことは割とありましたが、

みなさん、ものすごく努力されて

いました。

 

そういえば、大江千里さんにも

会いました。現在はニューヨークで

ジャズピアノプレーヤーをされています。

 

参考までに、日本で活躍されていた

頃の大江千里さん↓

 

大江千里さんは、その昔・・・

日本で武道館?だったか、

ドームだったか、忘れましたが

コンサートでは

結構大きな会場が満席になるくらいの

JPOPアーティストだったみたいです。

ピアノを演奏しながら歌うタイプの

方で、他のアーティストの方、(例えば

渡辺美里さんなど)に

楽曲を提供されたりもしていたそうです。

日本で歌手として成功するなんて

はっきり言ってそれも難しいのに、

その生活を捨てて、アメリカで

ジャズピアニストとしてまた一から

やり直すとは、すごいなと思います。

弾き方が全然ダメだと言われ

若い学生と一緒にクラスを

受けていたそうです。

私は大江さんとお話しする機会があり、

ニューヨークでジャズピアノを習った時の

お話しなど聞きました。

本当に苦労されたようです。

 

Justin Biber は、popsだけではなく、

R&Bやhip-hopもこなせるシンガーですが、

それでも、彼をR&Bシンガーと呼ぶ人はいません。

↓ 

生歌でも上手いジャスティン♪

 

それらしく真似をするのではなく、

自分のアイデンティティーをしっかり

強調してもいいのかな、と。

また、戦う土俵というか、戦場は

しっかり見極めて選んだ方がいいのかな、

とふと思いました。

 

それではまた次回。