J-POPにギラギラは必要か | アカデミアからのぞくJ-POP, K-POP, HIP-HOP

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このブログではアカデミックな立場から(主にアメリカで)どのようにJPOP, KPOP, HIP-HOPが認識・議論されているかを文献なども紹介しながらお話ししていきます。のんびり書いています♪

こんにちは!

Your Advisor Mimiです♪

 

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J -POPにギラギラは必要か

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というテーマでお話しします。

 

今日のお話は、

"Between Hybridity and Hegemony in K-Pop's

Global Popularity: A Case of Girls' Generation's American Debut"

(Gooyong Kim, 2017)をベースにしています。

 

2017年に出た文献なので、その後

BTS旋風が巻き起こったりしていて変化し続ける

K-POPですので、全てを鵜呑みにして

引用はしませんが、この論文から

インスピレーションをいただいています。

 

「世界をとりにいく」という言葉が

最近、気になっています。

「J-POPが世界をとりにいく」というのは、

”K-POPのように”ということなのか、

”アメリカに受け入れられるように”ということ

なのか、

北米・南米・ヨーロッパ等含めた「世界」

なのか、

このあたりが少し気になるところです。

目標達成において、マインドセットは

重要なんです。

 

K-POPの人気の行き着くところ、

その鍵は「アメリカとの関係性」に

あると言われています。K-POPアーティストを

初めてプロデュースしたSMエンターテイメントの

イ・スーマンさんご自身がアメリカのポップスや

ヒップホップにかなり影響を受けた方で

あることはもうよく知られたことです。

 

また韓国では、Korean Warにおいて

アメリカは共産国からの侵略を救ってくれた

救済者である(恩がある)というふうに

認識している人が多く、アメリカは

先進国というだけではなく、伝説的なユートピア

というふうに考えられている。

「救ってもらった」

という、集合意識として、韓国の人たちの

想像・記憶の一部としてある、と。

 

アメリカの価値観、アイデンティティー、

伝統、など、このようなものがある意味

韓国文化に突き抜けてしまったのだという

ことです。ここから「不安定な」

ハイブリッド化が始まっていた。

 

不安定なハイブリッド化とは・・・

つまり、とてつもなくアメリカに

傾いている、ということです。

「アメリカ的価値を持つこと=

より良い世界」という偏った認識。

戦後の日本が思い浮かびますが、

日本の状況は違いますね。

 

この主張に基づけば、

K-POPの「アメリカ人が好むもの」

「アメリカで流行っているもの」

徹底的に売り込むやり方は

筋が通っている気がします。

 

J-POPがそこまで振り切れない

理由の一つには、もしかして

アメリカとの関係も影響している

のかもしれない、と思います。

(アメリカに憧れていた時代って

日本では一旦落ち着いたように思いますが・・・

日本からの留学生も減っていますし。)


また、K-POPの後を追う

となると、完全に

「資本主義社会」に徹しなければ

ならなくなります。

とにかく、工場を24時間稼働させて

人気商品を生産していくこと。

英語論文では、K-POPトレーニング

システムを「奴隷制度」と呼ぶ人もいて、

恐ろしくも「奴隷」というふうに

西洋人には映っているようです。

それでも気になるK-POP。

悪い癖はやめられない、みたいな。

体に悪いとわかっていてもおいしくて

食べてしまうものありますからねニヤニヤ

 

その工場技術、SMエンターテイメントの

イ・スーマンさんがおっしゃった

Cultural Technology(文化的技術)を

利用させてもらってJ -POPを

世界に売っていくのか、ですね。

試行錯誤を経てのK-POP 技術です。

使う手はないんじゃないですか?

最近では、HYBEが大手になり、

ますますK技術に磨きがかかっています。

でも・・・

「それでいいんですか?」

という板挟みですね。

(すでに、

localizationは始まっています。

K-POPテンプレートで

日本人グループも生産され始めました)

 

のんびりしててもなんとかやっていける、

状態がJ-POPだった。

よくも悪くも我が道を行っている。

そもそもガツガツ・ギラギラは

相当なハングリー精神がないと生まれません。

これからギラギラになっていくのか。

どうするのか。

K-POPの勢いは認められてはいるものの、

やはり「アイドル大量生産工場」を批判している

論文は割と目立ちます。

そして、心配なのはいつかこの工場が

破綻してしまわないか、という

可能性。ゼロではありません。

急成長するなら急降下もあり得るんですね。

アメリカとの関係、マインドセットなど

技術面だけではないことも関係しています。

もう少しその内容の考察と評価をしていきたいと

思います。

 

それではまた次回!

 

〜Your Advisor Mimi