今年の春、愛知万博開催・中部空港開港にあわせて、
名古屋の各地に、ランドマーク的な新しい商業施設がいくつかオープンしました。
サンシャイン栄
、アスナル金山
、名古屋港イタリア村
etc…
とりわけ、あの三越が栄のど真ん中にオープンさせた「LACHIC ラシック」。
オープン当初の混みようはすごかったみたいですね…
特に、一階の通路スペースが広く取ってあって、久屋大通と大津通の間の人の流れを
うまくPRイベントなどに取り込めるというのがすばらしい。
また大津通側にはZIP-FMの公開ブースもあって、
前にB'zが来た時には、ファンが長蛇の列を作っていました。
そんなLACHIC ラシックですが、オープンの際の広告戦略が挑発的でした。
まず、定番の電車広告。地下鉄名城線で施されたのですが。
普通は車体表面のラッピングや、車内広告を統一するくらいのもの。
しかし、この時「ラシック」は、
座席に謎の「?」のイメージを描いて、なぜか床にはマンホールを配置。
もろにインパクトのある方法で話題をさらったのでした。
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091112960539.html
さて、今回は改めて、この時に展開された「…私って謎だらけ。」の広告・CMを検証します。
実はこの広告、全部で10のパターンがありました。
LACHIC ラシック
http://www.lachic.jp/
10のパターン、全てがイメージグラフィックのみで構成されていて、
実に女性の共感を呼びやすいものとなっていることに、関心を持っていました。
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<デニム篇> 男の子になりたい時もある。
女性ってたぶん、一度はこう思うんじゃないでしょうか。
逆に男は女の子になりたいとか思うことってそんなにないんですよね。
それは多分、
女性のほうが女性であることに窮屈さを感じることが時々あるってことだと思うんです。
社会的にまだまだそうなのかも知れないし、
また身体的にも自分が女性であることを、思春期ごろから痛切に感じさせられる。
それがもしかしたら、時々ものすごく窮屈なのかもしれない。また、納得できてないのかもしれない。
そんなふうにちょっと思うんです。
そのあたりをうまくすくい取っているのかなあ、と。
でも、そんな戸惑いがあるから、
逆に女性であることに喜びを感じることができるんだとも言えるんでしょうけどね。
<口紅篇> デート中、隣のオトコが気になったり。
これは男でもありますよね。いや、男のほうがあると思います。
いや、どうなんだろう…ww
でも、女性は少しでも「嫌い」「合わない」という感情が芽生えたら、一気に抱え込みますからね。
今の彼氏に幻滅してしまっている状態なら、こういうふうになってしまうことも多いかもしれません。
あるいは、単に気が多いか。
<エビフライ篇> 女同士だと、どえりゃあ名古屋弁。
基本的に、名古屋弁話す女の子は好きです(なんじゃそら)。
「いいよー、早く来やー」とか、「ナニ言っとるのー、怒っとらせんがー」とか。
標準語より親しみやすく聞こえるんですよね。で、落ち着く。
個人的には岐阜・美濃弁も好きです。
まあ、名古屋弁に似てるんですけど京都寄りの言葉になってくるのでもっと優しい感じになるんですよ。
「あんた、そういう話、好きやんね」みたいな。
あ、やっぱり名古屋弁よりこっちのほうが好きでした。
あと、名古屋=エビフライ、という図式は、タモリのネタがきっかけで広まったそうですが、
実のところ、名古屋人はそんなにエビフライに思い入れがあるわけじゃないんですよね。
なんでも、
タモリの学生時代の友人で名古屋出身の人がいて、その彼がたまたまエビフライ好きだった
から、できあがったネタみたいで。
確かに、「アイ」の発音が、「ェア」になってしまって、
「エビフライ」を「エビフリャー」と発音することがない、とは言い切れないんで、
ちょうどネタにしやすかった単語だったということでしょう。
それが今じゃ、名古屋名物の一つとして、名古屋人が自ら挙げてしまうわけですから、
商魂たくましいんですね、名古屋人は。
<ノート篇> 2ページ目まではキレイな字。
これはもう、あるあるネタの域に入ってます。
「いつもここから」とかがやりそうです。
確かに僕も、新学期入ってゴールデンウィーク前まではキレイな字で書いてました。
その後は当然適当でしたけど…。
<ショートケーキ篇> 今日はイチゴの気分。
ある意味、女性って一筋通った考え方をするなあ、と思うんです。
それは「私の気分で判断する」ってこと。
男はそういう考え方ってあんまりしないんですよね。
いろんな情報とか場合を想定して考えることが多い。
もしくは、勢いで行っちゃうとかww。
だから、不確定要素が多いと、誤った判断をしてしまいそうになるんです。
でも、女性は自分の気分を優先しますから、失敗しても後悔があまりないんですよね。
さっと次へ行ける。
仕事の場合でも、さすがに自己主張ばかり通すわけにも行かないですが、
自分さえ納得できればそれでいいという強さを持っている。
男は納得いかなかったら、ずっと納得いかないままだと思いますよ。
変にこだわりがあるというかね。
だから、男は道を極めんとして、浮気しちゃうのかもねw。
<テーブル篇> 大好きになるほど、近くに座れなくなる。
なんか避けられてるなあ、と思ったら、実は好きだったとかね。
何なんでしょうか。防衛本能が働くんでしょうか。
こっちは何も思ってなかったのに。
逆に、寄ってくるコは「別にそんなんじゃないよー」とか言うんですよね。
実は他の誰かのために偵察に来ただけとか、何じゃそら!
そして、こっちが近くからジャブできないのをいいことに、
当の本人は、遠くからアイコンタクトという、
リーチの長いパンチを浴びせてくるわけですよ!
せこいですよね。
まったく。
<ワイン篇> 「飲みやすいね」って、わかってるフリしたくなる。
(続き)…と、考えると、このコピーは、かわいいですよね。
ね、ウソでもいいから、こんなフリしてほしいじゃないですか。
「って、お前それわかって言ってんのかよ~」みたいなツッコミもできるわけで。
会話も弾むわけですよ。試合にもなるわけですよ!ね。
<フランスパン篇> 外国に行くと、ごはんが恋しくなるくせに。
外国行ったことないですからわかりませんけど、でも、ごはんはやっぱり恋しくなるでしょうねー。
だからって、寿司屋とかに行っても、あれはやっぱりごはんじゃないですもんね。
白いご飯じゃないと。
パールライスじゃないと。
パッ・パッ・パパッ・パッ♪
<網タイツ篇> マジメだったり、エッチだったり。
しかし、エッチを表すのが「網タイツ」ってどうなんですか、イマドキ。
ボディコンとかついでに言っちゃいそうじゃないですか。
でも、モチーフとしてはやっぱりそうなのかな、って思えちゃいますね。
というか、このコピーに対してはこれくらいで留めて置かないとイケナイですもんね。
まあ、マジメでも、エッチでも、その時々で
新鮮な驚きを与えてくれたら、嬉しいもんですよ。ね。
<時計篇> 早く大人になりたかったのに、今じゃ必死で若づくり。
時の流れはいつも残酷で、怨んでしまうこともありますけど。
ただ、ことファッションに関しては、年齢は関係ないんじゃないんでしょうか。
特に流行や先端のファッションってのは、その時々で一番鋭い感性を持ったものだと思いますから。
常に「最新」でいたい、ってのはいいことですもんね。
やがて、若づくりとわかってやっていたことが「もういいや」と思ったときに、
次のステージが見えてくるはずですよ。
そこでまた最新を見つけりゃいいだけの話。
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まさに「わたしラシック」(私らしく)な広告だと思います。
それぞれのコピーに共感し、十人十色で解釈できる。
これで名古屋の広告界は変わるな、と確信しました。